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第10回(11/22) 本はどうやって選ぶ?

 

■参加者数は7名(男性5名、女性2名)でした。

初参加の方は5名でした。

 

【本をめぐる大冒険シリーズ2・本はどうやって選んでいますか?】

 

第10回読書会は「本はどうやって選んでいますか?」について、皆さんと考えてみました。

 

たくさんの意見が出ましたが、面白かった本の周辺から次に読む本を決めている方が多いと感じました。具体的には同じ筆者の作品や筆者に関連のある作品などから探すということです。しかしそこから実際に本を選ぶとなると、自身の持つ想像力を頼りに瞬時のひらめきで選んでいるため、個人の感性の違いがあって大変興味深かったです。また、書店で装丁買いなど、一期一会の本との出会いも話題にでたり、参加者さんたちの本を見るまなざしが優しく、素敵な時間を過ごせました。

 

貴重なご意見をありがとうございました!

 

それでは今回の読書会スタートです。

 

【紹介本】

立てたり

111

重ねたり

333

並べたり

222

 

『人生で大切なことは、すべて「書店」で買える』千田琢哉

人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。

「読書の大切さ」を読者に寄り添うように語りかけてくる本である。20代向け自己啓発本がヒットしている筆者だが、本書はどんな年代も受け入れる懐の深さと読みやすさがある。いつのまにか読書のモチベーションが上がってくる内容はとても魅力的だ。各章ごとにお薦めの本も紹介されていて嬉しい。

 

『ニューヨークは闇につつまれて』アーウィン・ショー

単行本★『ニューヨークは闇につつまれて』アーウィン・ショー

短編集『夏服を着た女たち』の続編。アメリカの最高峰に君臨する雑誌『NEWYORKER』を色濃く漂わせる本書。NYで生活する者の空気と登場人物の心情が絶妙に絡み合い、上品な作品に仕上がっている。本文の何気ない会話やちょっとしたしぐさから生まれる世界観は翻訳した常盤新平の作風と繋がる。

 

『抜く技術』上原春男

「抜く」技術

海洋温度差発電に携わってきた筆者。さまざまな分野を鋭い視点で分析すると、そこには「抜く技術」が視えてくると説く。日本人の美意識はどちらかというと、押すよりも引くことに美しさを感じる一面がある。それに加え抜く技術とは「心地よさ」を追求した究極の結果なのかもしれない。

 

『すべてがFになる』森博嗣

すべてがFになる (講談社文庫)

天才工学博士・真賀田四季の部屋からミステリーは始まる。N大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵がこの事件の謎を解き明かしてゆくのだが、そこには天才的伏線が張られた理系トリックが展開する。理論的な内容はどこか無機質な雰囲気を漂わせるが、それが筆者の孤高でいて他のものを引き付ける世界観なのだ。

 

『MISSING』本多孝好

MISSING (双葉文庫)

夏の終わりに起こる繊細で物静かな短編集。それぞれに登場人物たちは大切な何かを失う。もう手にはいらない存在に、淡くて切ない気持が残り、それが読む人の心に深く伝わる。男女の鋭く洗練された会話は、透明感があるのに余韻が残り、読後しばらく気持ちが離れなくなる。

 

『吾輩はシャーロック・ホームズである』柳広司

20100418234623

ストーリーの発想や着眼点が面白い!本格的推理小説に仕上がっており純粋に謎ときが楽しい!夏目漱石やシャーロック・ホームズの知識が豊富に組み込まれていて嬉しい!それらプラスの要素をバランスよく盛り込んでいる本書は、エンターテイメント性の高い良書と言えるだろう。

 

『変数人間』フィリップ・K.ディック

変数人間 (ハヤカワ文庫SF)

オシャレでシャープな印象の表紙にマッチする近未来型SFミステリー短編集。秀逸な作品ばかりが収められた一冊はどれも新鮮で読み応え十分であり、特に超能力の話においては筆者の類まれな才能を感じる。ディテールの風合いが醸し出す、かすかな違和感を感じ取ってラストシーンを迎えたい。

 

参加者のみなさま、ありがとうございました。

加筆、訂正等受け付けております。気軽にご連絡を頂けると嬉しいです。

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