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2020.5.7 手紙 キヤー♡ YONE

こんにちは、YONEです。

『もし良かったらメールしませんか?』

青春らしいイベントは後にも先にもこれっきりな気がします。小さく折りたたまれた手紙、中にはプリクラ。今よりも荒く淡い写真だった昔のことです。部活に向かう廊下で同級生の女の子に渡されました。いやに堂々として、白い歯を見せています。もう少し恥じらいのあるイベントじゃなかったっけ? 首を傾げて受け取り、手紙の裏面を見て合点がいきました。差出人は目の前の彼女ではなかったのです。知らない名前。

「○○高校の子、練習試合に行ったでしょう? その子はバスケ部じゃないけど、友達が出るからって、たまたま二階から観てたらしいよ」

その後、友人を何人か介して私の手元に手紙が届いたとのこと。すごい、なんて青春。

でもお断りを入れてしまいました。。。いやタイプじゃないとかそういった話ではなくて。理由は二つありまして、一つは背が伸びなくてポジションを変えることに必死だったこと(先週の記事を参照)、もう一方が【知らない人とのメールのやりとり、しんどい】です。メッセージのやりとりでは必ず行間を読む作業が発生します。しかし行間を読むにも共有する背景情報がないと結構大変です。全くのゼロから共通項を探し、関係性を構築することに二の足を踏んだのだと思います。当時は「う、面倒くさい」の一言でした。相手の努力も勇気も想像できない乏しい奴ですね、本当に。物語相手なら、行間を読む作業も進んでやっているというのに。。。

井上ひさし 著『十二人の手紙』(中公文庫)

12の書簡体短編+1編の短編集です。書簡体小説こそ行間を読む楽しみを存分に味わえる作品だと思います。果たして手紙と手紙の間に何が起こったのか、想像は膨らみます。本作では、劇作家井上ひさしがミステリ的な趣向を込めて各短編を書いており、凝った作りに感心せざるを得ません。さらに最終話では独立した物語の人物たちが再登場し、作品間ではなにがあったのかを想像する楽しみも提供してくれます。最近、中央公論新社が再プッシュしている作品でお手に取りやすいので、ご興味ありましたらぜひ。

ではまた来週、お会いしましょう。

【投稿者】YONE

明日はビブリオバトル横浜読書会のMIYさんへバトンタッチ!

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