読書の効能
梅雨の季節になると私の郷里は緑の香りが街全体に漂います。そんな雨に濡れた新緑のほのかな香りに癒されて、私は育ちました。授業を聞かずにジャポニカ学習帳のカタツムリやテントウムシに想像を膨らませて興奮していた幼少期に喝を入れたいところですが、妄想癖はこの時代から培われたのかも知れません。
”読書の効能”
一般的に読書は、脳の活性化が進んで頭が良くなるとか、知識や教養を得て人間としての深みが増すだとか、更に若々しくなり長生きするとか言われているけれど、あえて正直に言わせてもらうと「本読みのダメ人間」は確実に存在する。かくいう私が「本読みのダメ人間」だから。どんなに本を読もうと、今の私は頭の回転が遅い。そして残念ながら、早いペースで読もうが、遅いペースで読もうが、どこでどんな本を読もうが「本読みのダメ人間」としての大差はない。
ではなぜ本を読むのかというと、ページをめくるたびに、心がワクワクしてたまらなく楽しい。時間を忘れて夢中になれる。その幸福感を得ることができるからだ。ただのインクのシミでしかない紙から、無限の想像力が始まる。それって人生における最高の時間だと思いませんか?せめて妄想の中だけでも自分だけの世界を持っておきたい。
きっとあなたもビジネス書や哲学書や古典書など、あまたの書籍を自己啓発のために読んだとしても、結局は「あなた」から「本読みのあなた」にしかなれないかも知れない。本を読んだだけで人生が劇的にかわることを期待する読書に、新たな人生を切り開くだけの力は備わっていないことが多い。これは実経験からくる手ごたえのある結論だと思っている。それでも良いではないか。そもそも読書は楽しむものだから。
ちょっと仕事をして、たっぷりスマホを眺めた後は、さあ、お楽しみの“読み遊び”の時間でござる!香る読書に酔いしれる梅雨の時期も悪くない。