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書評『コレラの時代の愛』KURI

ただいま、考える読書会で4回に分けて読み説いている『カラマーゾフの兄弟』に夢中です。解説をお願いしているKINOさんをはじめ参加者の皆さんの考察に圧巻!横浜読書会の小宇宙を感じます。この大作に興味のある方は是非!遊びに来てくださいね。見学も大歓迎です。

“ビターアーモンドの香りがすると一つの恋が終わったのだなと思う。”

『コレラの時代の愛』ガルシア・マルケス(著)

ガルシア・マルケスは1982年ノーベル文学賞受賞者。代表作は言わずもがな『百年の孤独』。

この小説はコロンビアの19世紀後半から20世紀のむせかえるような愛の物語。51年9カ月と4日、フロレンティーノ・アリーサがフェルミーナ・ダーサとの恋を実らせるために待ち続けるという壮大なストーリーだ。

フロレンティーノ・アリーサは17歳。郵便配達員として手紙を届けた先のお屋敷のご令嬢フェルミーナ・ダーサに一目惚れする。手紙で気持ちを伝え合ううちに徐々に二人は惹かれ合い、結婚の約束をするのだが、フェルミーナ・ダーサの父親の反対にあう。強制的に1年半に及ぶ長旅に出ることとなったフェルミーナ・ダーサは、気持ちの整理がついたタイミングで医師ウルビーノ博士と電撃結婚してしまう。大失恋をしてしまうフロレンティーノ・アリーサの待ち続ける人生・51年9カ月と4日が、この瞬間から始まる。

何不自由ない結婚から起こるフェルミーナ・ダーサの夫婦生活や、独身を謳歌しつつも常にフェルミーナ・ダーサと結婚することを考えて生きるフロレンティーノ・アリーサの人間模様を、灼熱の太陽を浴びた文豪は本当らしさの限界まで余すところなく描き切る。

ウルビーノ博士のお葬式に現れ、フロレンティーノ・アリーサが愛の告白をするのだが、果たしてフロレンティーノ・アリーサは老人臭のする枯れ枝のような腕をした72歳のフェルミーナ・ダーサを愛することができるのだろうか。それは是非、本書を読んで秀逸な文章に溺れ、深く味わい、感じて欲しい。

それにしても、恋とはコレラのような死ぬまで冷めない熱病のようだ。

もう、そこからは逃れられない愛の物語。

【投稿者】KURI

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