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書評『やってはいけない7つの「悪い」習慣』KURI

外は雪が降っています。銀世界になるまで積もることはないでしょう。そんな寒さの厳しい2月、布団にくるまって本を読む幸せを味わっています。文学の淵を渡るのです。

”私たちは過去から学ぶことができる。”

『やってはいけない7つの「悪い」習慣』 コヴィー,デビッド・M.R.・マーディクス,スティーブン・M.【著】

著者の1人であるデビッド・M・R・コヴィー氏は、人生哲学の決定版『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー氏の三男。偉大すぎる父を持ち、その偉大な考えの中で育った著者の人生はその思想が追い風となり、才能を開花させたようだ。

「人間はみな自分の見たいものしか見ようとしない。」これはカエサルの言葉。そして、その言葉を地で行く男が本書の主人公・アレックスだ。

アレックスの考えは甘い。価値観の違う妻との関係、30万ドルを超える借金、転職した会社の営業部長としてのポジション。自分の将来すべてにおいて真剣に向き合うことなく、楽観的に何とかなると思っている。実際、何とかなっているのも事実なのだが、リッチな生活を謳歌してお気楽な日常を加速させる。

しかし、人生はそう甘くはない。家族の相談もなしに高級車をローンで購入して、ハワイのバカンスを楽しもうとしたところから人生が急降下する。結果、愛する妻は2人の子供をおいて家を出て行ってしまうし、ローンは膨らむ一方だ。会社のポジションも怪しくなってきた。そんなアレックスが途方に暮れる中、ハワイで亡き母の親友・ヴィクトリアと再会する。「どうして、何もかもだめになったのか」そんな相談に対してヴィクトリアは優しく、こう答える。

「身近に潜む7つの罠に気付いていないからよ。」

この7つの罠については本書を読んで確かめていただきたい。はっ、とする自分がいるはずだ。

成功するための原理・原則の書はあまたに存在するが、本書はその成功を妨げる人生の落とし穴に焦点を置き、その罠の正体とは何かを探り出す。罠は罠としての立ち振る舞いでは存在せず、魅力的に私たちを虜にする力を持つ。信念を奪い取り、欲望を食い物にして、ひっそりと佇む。破滅の道、その時が来るまでただひたすら巨大化して待つのだ。本書はその恐るべき罠の対処法や具体的な方法を丁寧に解説している。

7つの罠にすべて該当するというアレックス人生の芸当に突っ込みどころ満載だが、そこは無視だ。あまりにも出来過ぎた「ハッピーエンドなアレックスの人生」も置いておく。そしてラストに向かって再び燃え上がる「夫婦愛」のことも、もう、この際どうでも良いのかもしれない。個性豊かなキャラクターと物語を存分に楽しむことが『やってはいけない7つの「悪い」習慣 成功をひそかに妨げる「人生の落とし穴」』を読む上での作法であろう。

【投稿者】KURI

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