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2020.5.14 100年後 YONE

こんにちは、YONEです。

ヒト一人の人生では足りない程に長い。それでもほんの100年と感じてしまいます。本を手にする僅かな労力で、私たちは時間をさかのぼれるし、先を見据えることも出来ます。

100年前の1920年、ミステリは大きな変化を迎えました。いわゆる本格ミステリの黄金期です。黄金期以前のミステリは短編が主でしたが、黄金期以降では長編が中心となり、多くのミステリファンを獲得していきました。アガサ・クリスティ、S・S・ヴァン・ダイン、エラリー・クリーン、ジョン・ディクスン・カーなど、今なお愛され読まれている作家が誕生した時代で第二次世界大戦が始まるまでの約20年間続きました。

さて現代。作家たちは大きな判断を迫られています。まさに今書いている小説にコロナウイルスの経験を反映させるか否か。おそらくコロナ禍収束した場合には、一部の常識、認識が異なってくるでしょう。発表した作品がその感覚とずれていたら? 作家の苦悩が容易に浮かびます。

2120年、小説全体あるいはミステリはどう変わっているのでしょうか。振り返ると今が変曲点かもしれません。出来れば、長生きをして振り返ってみたいものです。今日は100年前、1920年に発表された重要な本を紹介します。

アガサ・クリスティ 著『スタイルズ荘の怪事件』(クリスティー文庫、早川書房)

クリスティ女史のデビュー作、有名なポアロシリーズの第一作にあたります。デビュー作にも関わらず著者の企みには目を見張ります。以降、様々なチャレンジを繰り広げるクリスティが既に詰まっている良作です。本作だけでなくクリスティ作品全般に言えることですが、著者の描写もよいですね。行ったことがない100年前のイギリスの田舎町になんの違和感もなく立たせてくれます。物語の随所から感じられる田舎町の豊かさが好ましい。ぜひお手に取ってみてください。

ではまた来週、お会いしましょう。

【投稿者】YONE

明日はビブリオバトル横浜読書会のMIYさんへバトンタッチ!

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