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2020.4.30 凄い! YONE

こんにちは、YONEです。

背中にも眼があるに違いない。類いまれないパスセンスに感動を超えた怖さすら覚えました。日本人初のNBAプレイヤー田臥勇太選手、彼の高校時代のプレイを見た時のことです。

とある春。小学五年生に進級した私は思いがけない友人I君の一言から悩みを抱えていました。ミニバスケットボールクラブに入ると言うのです。臆病で引っ込み思案の私は友人も少なく、このままでは毎日一人で帰る羽目になる。回避する選択肢は一つ、私もミニバスを始めること。いや無理だろうと何度も思いました。私は学年で一番太っていたからです。スポーツとは対極に位置する。ただ背は高く160cm代で周りより頭一つ飛びぬけていました。刻々と迫ってくるI君の入部。今振り返ると大したことはないんでしょうが、小学生にとって世界は狭いものです。ええいままよ、背に腹は代えられない。運動なんて避け続けてきた人生でしたから、日々の練習はハードなんてものじゃなかったです。最初はゴール下で高めのパスをもらい、振り返ってシュートしかさせてもらえませんでしたが、出来ることが増え続ける日々は楽しくて仕方ありませんでした。

しかしながら中学も早々に止まった身長が私を悩ませます。中学は何とかごまかしごまかしプレイできたのですが、高校にもなると今までのポジションではプレイできなくなり、一からドリブルとミドルレンジのシュートを練習しなおす毎日でした。ちょうど田臥選手がNBAに挑戦する時期で、勇気をもらったことを覚えています。その後、フェニックス・サンズの一員としてコートに立つ日本人初NBAプレイヤーの姿は、まさしくパイオニアの背中でした。

さて日本ミステリにもパイオニアがおり、黒岩涙香がそれにあたります。翻案小説『巌窟王(モンテ・クリスト伯)』はご存知の方も多いかも知れません。本日紹介するのは涙香の創作で日本人初のミステリ小説です(諸説あり)。

黒岩涙香 著『無惨』(日本探偵小説全集1 創元推理文庫に収載、又は青空文庫)

二人の口の悪い警官が川辺で見つかった身元不明の死体から犯人を推理し探す物語です。警官はそれぞれ40代の勘と閃きに頼るベテラン、20代の科学的分析を用いる若手。二人の掛け合いも面白く、意外な真相も提示される。キャラクター性とプロットは見事で日本人初のミステリとは思えないほどの完成度です。続編も期待される一方で、これまでにない形式の小説には批判も多かったようで、創作小説の執筆はこれっきりで止め、翻案小説に注力することになったそうです。

どの分野であれパイオニアが刻んだ足跡は我々をいつでも鼓舞してくれます。ご興味ありましたら田臥選手が成し遂げた記録やプレイを調べてみてください。涙香の『無惨』を読んでみてください。きっと驚きに誘ってくれるはずです。(ちなみに『無惨』ちょっと古い文体なので読みにくいです。悪しからず)

ではまた来週、お会いしましょう。

【投稿者】YONE

明日はビブリオバトル横浜読書会のMIYさんへバトンタッチ!

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