第21回(10/24)家電製品に纏わる話
■参加者9名(男性5名、女性4名)
初参加の方は5名でした。
今回は「家電製品・電化製品」について参加者のみなさまに聞いてみました。
最近我が家で冷蔵庫が壊れました。異常音を発して表面が熱くなり翌朝には床が水浸しになって使用不可能となった冷蔵庫の「生きざま」が感慨深く、同じような経験をお持ちであれば、ぜひお話を聞いてみたいと思ったからです。
先ずはオーディオ機器。インターネットで購入した保証書がない商品が即座に壊れた話や、CDの取り込み口部で不可思議な動作を繰り返すがなかなか壊れない愛すべき製品など、どれも経験がありそうで深くうなずく方が多かったです。
そして偶然にも冷蔵庫を買い替えたばかりの方が多く、20年以上使っていた方がいたり、購入して一週間で壊れた話や、モーターの消費電力と電気料金の関係、霜が降り始めたら寿命かもしれないといった豆知識まで話題が広がりました。
大変面白かったです!参加者のみなさま、貴重なご意見をありがとうございました。
今回、課題となる本は「新書」でした。読書会スタートです!
【紹介本】
※福岡県在住のNさんから書評をいただいております。「Nさん第2弾」となる透明感のある感想をお楽しみください。
『魂の燃焼へ』
著者:執行草舟(1950年東京生まれ 立教大卒 思索家・著述家・実業家)
清水克衛(1961年東京生まれ 「読書普及協会」初代理事長 現在、顧問)
発売当初にビジネス書部門で週間売り上げベスト10に数回入り、今も地道に売れている本です。facebookでは『魂の燃焼へ』のアカウントがあり、著者の清水さんの本書に対する精力的な活動が現在進行形で見られます。清水さんは、ベストセラーは販売しない主義の書店経営者でもあり、本のソムリエと巷で呼ばれる個性的なおじさんです。対する執行氏は、もと鍋島藩のお武家さまの血を引く方で、且つ、小林秀雄や三島由紀夫とも文学論をした事がある(できる)位の武士道的ダンディなおじさまです。
この相反するようなお二人の共通点は膨大な量の読書を自分の血と肉としたということでしょう。そしてこの本の特徴は、そんな究極の読書通の二人が対談したらどういう内容になるのかということです。“仕事とは何か、愛とは何か、青春とは何か、国家とは何か、生命とは何か、そして人生とは何か。魂を燃やして生き、悔いなく死ぬためのヒントがここにある!”と帯にありましたが、今の日本や日本人を憂いているお二人の言葉は、ずんずん胸に響いてきます。例えば“「沈黙」が人間の魅力をつくる”と賢人たちは叡智の泉を掘り起こし、秀逸な文章で読む者を虜にします。著名な人物の話や独自の宗教観を展開しながら、どんな本を私達が手に取れば良いか、どういう事を日常的に考えてみたらいいのか、など思考を交差し縁取りながらinspire(インスパイアー:刺激)を与えてくれます。
私は知人から『生くる』『友よ』を紹介され執行氏を初めて知りました。連綿と登場する哲学者の名前に辟易し、読み終えるのにとても時間がかかりました。今回の『魂の燃焼へ』は、執行氏の思想哲学論を清水氏がわかりやすく噛み砕いてくれて、そこが売れ筋になった理由の一つと思われます。お互いに尊敬の念を持つことで魂が呼び合い今回の対談本に繋がった、そんな本書は私の一押しの新書です。
以上 ご紹介を終わります。
『なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか』大林宣彦
映画監督である筆者の「現代の若者たち」の考察。若者が老人に席を譲らないのは自己中心的な考えだからではなく、未来の展望が持てないから。現代社会の教育や文化の綻びに気付かせてくれる一冊。
『技術の伝え方』畑村洋太郎
本書は六本木ヒルズの回転ドアを事例に、組織で伝承されるべき「技術や知識」が個人レベルで属している企業が増えていると警鐘する。伝える立場の人も教わる立場の人も学ぶべきことが多いおすすめの一冊だ。
『家族という病』下重暁子
※第0回ランチで読書会にてご紹介頂いております。ありがとうございます。
『レインツリーの国』有川浩
著者の小説『図書館戦争』の中に出てくる本を実際に小説化。きっかけは「忘れられない本」。主人公はあるブログに載っていたその本の感想に共感を覚え、「ひとみ」というピュワな女性に強く惹かれていく。しかしひとみには人に会うことへの戸惑いがあった。
『正しいパンツのたたみ方』南野忠晴
パンツを皆さんはどのようにたたんでいるだろう?それを他の人に話した事は?本書では生徒の生活に目を向けて、それがどれだけ多様であるかに注意を促す。生活手段を通して人間関係、社会関係まで捉える、そんな家庭科の勉強法がここにはある。家族関係が様々な形をとる今日において、自分の暮らしを自分で整える力、それを見つめ直してみるのも良いだろう。
※今回ご参加いただいたNさんの書評です。
『袁世凱』岡本隆司
中国近代史において、辛亥革命の結果を簒奪した袁世凱。彼がどのようにしてその権力を握るに至ったかの過程を知ることが出来る貴重な一冊。現代の中国と日本の関係の基を知る上でも参考になる。
『男と女のワイン術』伊藤博之、柴田さなえ
残念ながらタイトルから想像するような男女の関係に使えるワインの話はあまり書かれておらず、正統派ワインの基礎知識を学ぶのに最適な一冊だ。本書を読んで、自分好みの香り漂うとっておきのワインを探してみよう。
『イタリアン㊙ファイル』ファブリツィオ・グラッセッリ
イタリアのワインの風土記。ワイン産業の起源とその歴史から始まり、現代の生活の中での位置づけまでを丁寧に記す。自家製ワインをいただきにイタリアまで旅に出かけてみたくなるご機嫌な一冊。
『読書力』齋藤孝
※第3回朝の読書会にてご紹介頂いております。ありがとうございます。
『音楽の聴き方』岡田隆生
「音楽に聴き方なんてあるのだろうか?」「好みは人それぞれではないか?」、率直にそのように思う人は多いだろう。本書では、人々が無自覚にとっている音楽を聴く上での前提を、様々な角度から明らかにする。自身の聴き方の癖を振り返り、より多様な聴き方、楽しみ方を得る上で示唆される点は多いはずだ。”好みというものは洗練し得る”、この言葉に同意するならばぜひ一読をお薦めしたい。
※今回ご参加いただいたNさんの書評です。
『哲学入門』戸田山和久
扱っているテーマが自由、意味、道徳など、抽象概念を哲学という学問でひも解いてゆく。人間という特定の観察者の視点を排し、物理的、科学的に掘り下げる本書は、入門書とはいえ筆者の労作が伝わる深い内容に思わず知的興奮を覚え、人間であるがゆえの幸福感を与えてくれる。
『ほんとうの法華経』橋爪大三郎、植木雅俊
現代最高峰の法華経の読み手である植木氏と、仏教学の第一人者・中村元先生の弟子である橋爪氏が、難解な経典・法華経の魅力を余すことなく引き出した本書。法華経の面白い考察を学び、新たな可能性を知ることとなる未知への世界に覚悟を決めて飛び込もう。
『戒厳令下チリ潜入記』G.ガルシア・マルケス
ピノチェト軍事政権下、国外追放されている映画監督・ミゲル・リティンが、レジスタンスの力を借りてチリに潜入するというルポルタージュ。スリリングなスパイ小説さながらの内容に興奮しつつも、リティン監督のどこか緊張感のない行動が、程よい脱力感を誘う。
『解剖男』遠藤秀紀
遺体解剖は知の宝庫だと、解剖男が解剖学を熱く語る。様々な哺乳類の解剖雑学がちりばめられており、動物進化への神秘に興味が尽きない。しかし、多くの知見をもたらす解剖学研究の環境は、現状として恵まれたものではないと警告する。
『沈没船が教える世界史』ランドール・ササキ
「水中考古学」という分野は興味深い。海に眠る財宝は土の中と違い、空気にふれずに残されるため腐敗が少ない。よって過去の歴史を大きく塗り替える大発見が沈没船とともに見つかることが少なくないという。海底からタイムカプセルを見つけ出すロマンに好奇心が止まらない。
参加者のみなさま、ありがとうございました。
加筆、訂正等受け付けております。気軽にご連絡願います。