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オンライン読書会を開催して思うこと

オンラインによる読書会を開始してから、もうすぐ1年になります。

モニター越しに参加者の皆さんの元気なお顔を拝見すると、安堵感に交じってむくむくと湧き上がる感情があります。それは紹介された本をこの目で見たい!という欲求です。

紹介された本をゆっくり愛でたい。書店に並ぶ新しい本も良いけれど、付箋やマルジナリア(本の余白に書き込みされたもの)で彩られたり、読み込まれすぎて表紙も中身もボロボロになった本達の姿は、その本が持つ歴史の重みと深みがあります。そんな持ち主の色に染まった本達を、できれば自分の指で直接触れて感触を確かめたい。オンライン上で本が紹介されると、思わず画面に顔を近づけて手を伸ばしたくなる衝動にかられます。

そういえば、読書会で紹介される本達は「包まれてくる姿」も様々でした。

ほとんどの方は書店の袋やエコバックに入れて鞄にしのばせ持ってくるのですが、ジプロックのビニール袋に入った謎に真空状態にされた本を目撃したことがあります。読書会後、参加者の方が時間をかけて空気を抜いていた姿が忘れられません。冷蔵庫内で冷凍保存されている野菜たちや圧縮された布団とシンクロしましたが、雨の日でも本が濡れずにすむ方法としてなるほど!と思いました。

残虐ミステリ小説・イヤミスがほっこり感満載の刺繍入りの手作りブックカバーで紹介されたときはギャップ萌えでしたし、骨董品を包むような格調高い風呂敷に包まれて本が登場した時は緊張のあまり息を吞みました。

自宅の本棚から読書会という場へ小旅行をしてきた本は、プレゼンテーションでその内容を発表する前から、参加者の何気ない行動によって「想いは語られている」と感じます。そんな本達はどこか誇らしげです。本当に大切にされて読まれ、選ばれた本だけが、今、この読書会に来ているのだなと感慨にふけった一期一会の瞬間を思い出しました。

【投稿者】KURI

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