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これまでの読書会

第31回考える読書会 『源氏物語』第4回(薄雲~胡蝶)

■参加者16名(男性8名、女性8名)でした。

 

『源氏物語』を読み進めていく企画の第4回目(全10回)。今回から参加の方もいらっしゃいました。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいており、訳者さんの内訳は以下の通りです。

角田光代訳  5名

林望訳    4名

大塚ひかり訳 2名

瀬戸内寂聴訳 2名

谷崎潤一郎訳 1名

橋本治訳   1名

円地文子訳   1名

 

 

■まずは、今回までの24帖(桐壺~胡蝶)の中で好きな巻を挙げていただき、さらに、今回の範囲(薄雲~胡蝶)の感想を話していただきました。

 

好きな巻

・紅葉賀   3名

・玉鬘    3名

・桐壺    2名

・若紫    2名

・須磨・明石 2名

・葵     1名

・少女    1名

・初音    1名

・朝顔    1名

 

最も多かった「紅葉賀」は、若い光源氏の絶頂期の話がよかった、思いを寄せる藤壺の前での光源氏の舞姿が印象的で切ない、などの理由が挙げられていました。同位となった「玉鬘」を挙げた理由は、登場人物の年齢が上がっていく中で若いヒロインが登場し物語に変化を与えている、夕顔のファンだったのでその娘の話が興味深い、などでした。

 

皆さんの好きな巻のお話を聞いていると、いろいろなシーンが思い出されます。長い長い物語を読み進めているのだと改めて気づき、感慨深いものがありました。

 

今回の範囲(薄雲~胡蝶)の感想は、以下の通りです。

・光源氏が意外にも父親としてしっかりとした教育観を持っている。いまにも通じる教育観

・光源氏が父親らしく振る舞うのに驚いた

・栄華の頂点、六条院がすごい。

・雲居の雁と夕霧の幼い恋の話がほっこりする。障子を隔てて歌を交わすシーンや抱擁シーンが印象的

・須磨以降、光源氏もいろいろ経て大人になってきたと思ったら、養女の玉鬘への思慕には驚いた

・光源氏がおとなしくなってしまったと思っていたので、やっぱり光源氏、これぞ光源氏と思った

・玉鬘の乳母やその子らの忠義心がすごい

・玉鬘の乳母の子らで筑紫に残った者たちはその後どうなったのか、スピンオフを読みたい

・田舎の権力者としての大夫の監の描写は、インパクトがある

・大夫の監は、粗野だけれど財力のある地方で台頭している武士の姿を描いている

など

 

 

■次に、事前にお配りしておいた資料に基づき、女房についてや、六条院の画像などを見ながら当時の貴族の住居について簡単に説明し、それに対して様々なご意見・ご感想が出ました。

 

・六条院をつくった光源氏の財力に感心する

・六条御息所の家の跡地に、自分の女性たちを住まわせる光源氏の心理がわからない

・当時の姫君は、ほとんど動かないので運動不足になるのでは

・部屋の仕切りに防音効果はなく、いろんな音がもれ聞こえていただろう

・薄明りで几帳越しでのやり取りは、はっきり見えるより、趣があり恋に落ちてしまうだろう

・女房たちがいろんな場面で実は重要な役割をはたしているようだ

・女房・召人を念頭において読むと、また違った見方ができるような気がする

など。

 

 

■その後、内容についての簡単な解説・問題提起をして、フリートークで読書会を進めていきました。

 

・藤壺が亡くなったが、意外にあっさりと書かれていた

・光源氏の夢に出てきた藤壺は、もっといろいろ光源氏に言ってやればよかったのに

・出生の秘密を知った冷泉帝はまだ18歳なのに大人

・六条御息の生霊により殺された夕顔の娘の玉鬘が六条院に住むことになるのだから、恐ろしい

 

光源氏の口説きに落ちない女性、朝顔の君についても次のような様々なご意見が出ました。

・光源氏と恋に落ちると心の平安が得られなくなることをわきまえている

・非常に理知的

・恋愛体質でないのでは

・末摘花と同じく恋愛にそもそもそれほど興味がない

 

光源氏の玉鬘への下心を見抜いく紫の上と光源氏のやり取りについても意見が交わされました。

紫の上が、六条院で多く光源氏の女性たちと暮らす中で、精神的バランスが崩れ始めているのではないかというご指摘もありました。

 

■最後に、読書会を終えての感想を全員の方にお聞きしました。

 

・恋愛小説だけでなく、血統・権力・女房のキャリアなどいろんな読み方ができると思った

・前回までは読むのが大変なところもあったが、とても面白くなってきた

・今後、光源氏がどうなっていくのかとても楽しみ

・光源氏の息子の話も出てきて、世代交代をしていくところも楽しみ

・貴族の結婚観が見えてきた

・皆さんのお話・感想を聞いて、もう一度読み直してみたくなった

などなど。

 

■フリートークの中で、桐壺帝と桐壺の更衣の恋愛は、今になって振り返ってみると、当時としては非常に特殊な純粋な恋愛だったのではという感想が出ました。読み進めていくうちに、これまでの話の意味が見えてきたり、改めて気づくことも出てくるのも、長編物語ならではの楽しみです。

 

いろんな読み方ができる『源氏物語』。恋愛物語として登場人物の心理・生き方を考える一方で、政治権力の話として光源氏や姫君たちの恋愛・婚姻を読み解いていくこともでき、さらに、親子の愛情物語としても読めるので、フリートークの内容も多岐にわたりました。また、平安時代の王朝貴族の風俗などを知ることもでき、1000年前の日本を発見したり、現在の日本の文化・社会を・風俗を再考することもありました。もっと皆さんのご意見・ご感想を聞き、語り合いたかった、あっという間の2時間半でした。

 

ご参加くださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

また、参加を迷っていらっしゃる方、まだまだ間に合います。とりあえず胡蝶までのあらすじを読んで、ぜひ蛍から挑戦されてはいかがでしょうか。お待ちいたしております!

【投稿者】NAOKO

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