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考える読書会『A・ウェイリー版源氏物語』第5~10回

横浜読書会KURIBOOKSの考える読書会ファシリテーターを担当していますnaokoです。よろしくお願いします。

■考える読書会『A・ウェイリー版源氏物語』第5~10回のご報告です。

『A・ウェイリー版 源氏物語』(毬矢まりえ・森山恵姉妹・訳、左右社)を全10回で読み進める2023年企画のオンライン読書会。

第5回~10回の様子をまとめて報告します。

■開催月・範囲・参加者数

第5回(6月開催) 蛍~藤裏葉 12名(男性5名、女性7名)

第6回(7月開催) 若菜    14名(男性6名、女性8名)

第7回(8月開催) 柏木~幻  14名(男性6名、女性8名)

第8回(9月開催) 匂宮~総角 16名(男性5名、女性11名)

第9回(10月開催) 早蕨~東屋 13名(男性5名、女性8名)

第10回(11月開催)浮舟~夢浮橋10名(男性5名、女性5名)

 

オンラインということもあり参加者は、関西やアメリカからも!

毎回10名以上の方が集まってくださり、それだけ『源氏物語』が人を引き付けるものがあるということでしょう。

■2021年から始まった源氏物語読書会。3巡目の今年は『A・ウェイリー版源氏物語』を読み進めました。

まず、参加者の皆さんの感想に毎回出てくるのが「毬矢・森山姉妹の翻訳が美しい」。

本当にうっとり、ため息が出ます。

そして、皆さんと一緒に読み進めるうちに、1000年以上前に執筆された『源氏物語』が、100年前にA・ウェイリーによって訳され、日本の歴史文化を知らない欧米で大反響をよびおこしベストセラーになったのも不思議でないことに気づかされます。

妬み、悩み、苦しみなど人間の負の感情、生き抜くことのしんどさ、人を愛する喜びと切なさ、父と子や母と子の情、男と女の機微。国境・時を越えて心にひびくものがあるのでしょう。

源氏物語のエッセンスが、『A・ウェイリー版源氏物語』に詰まっているのだと思います。

画像
『A・ウェイリー版源氏物語』(毬矢まりえ・森山恵姉妹訳/左右社)

以下、各回の様子をごく簡単にまとめます。

■第5回。カタカナ表記の「ランタン」「キャンドル」などの言葉が幻想的という感想が上ったり、「!」などの記号にこめたウェイリーの想いを汲み取ったり。

毬矢まりえ・森山恵姉妹翻訳のウェイリー版源氏物語の世界に、すっかり皆さん入り込み楽しむようになりました。

■第6回は、衝撃の帖「若菜」。人間っぽく翳りを見せるようになったゲンジと、ニョサンの存在に傷つきおののくムラサキについて、特に話が盛り上がりました。

■第7回。「桐壺」からの長い長いゲンジの物語の終わりです。

ここまでの登場人物の中で印象に残った男女を挙げていただきました。

印象に残った男性の登場人物はゲンジと圧倒的。印象に残った女性の登場人物で多かったのはムラサキでした。

ゲンジもムラサキも、完璧な人物として描かれていましたが、「若菜」以降二人が苦悩する場面が多くなり、人間味が出てきたという印象を皆さん持ったようです。

■第8回。ゲンジ亡くなり、光なきあとの世界、宇治十帖の始まり。

今回は、翻訳者の毬矢・森山姉妹にご参加いただいての特別回でした。

前半は普段通りの読書会を行いました。ゲンジのストーリーよりも、登場人物の心情が詳しく書かれて、男と女の想いの伝わらなさがよくわかるという感想に皆さん共感されていました。

後半は毬矢・森山姉妹にお話をいただきその後、質疑応答、という大変贅沢な回となりました。この回については、また改めてご報告したいと思います。

■第9回、宇治十帖の中盤。「俗っぽいところと深いところがあり、より面白くなってきた」と参加者の方がおっしゃる通り、ゲンジに比べてカオルもニオウも人間味あふれていて、ただの美丈夫でよい香りのプリンスではない点に、いろんな感想・意見がでて盛り上がりました。

■第10回、最終回です。
源氏物語は「夢浮橋」で完結しているかどうかを、お聞きしました。皆さんのお答えは半々。未完と思われる理由として「未完だからこそ印象深い」「紫式部として続きを書きたかったのではないか」「出家を望んでいたカオルと出家した浮舟とのやり取りを書くつもりだったのでは」などが上がりました。

「読者としてエンペラーとなったニオウと大臣になったカオルの話を読みたい」という声も。
一方で、「読者に未完か完結かは任せている」「浮舟の物語としては終わっている」というご意見もありました。

■最後にすべて読み終えてのおもな感想を。

・源氏物語読書会に参加して3巡目だが、読むたびに印象が変わる

・人間の感情は自分ではコントロールできないということがよくわかる

・長編で大変だけれど最後まで読むと最初に戻りたくなる

・ゲンジという男主人公の話だが女性中心の物語

・ウェイリーの解釈が源氏物語を生き生きとさせている

・源氏物語は大作なので一人では読み切れないが、みんなで読んだから読めた
などなど

■読書会では、性別・年齢などの違う方たちの源氏物語の感想などを聞くことで、いまの自分の生き方を考えさせられることもありました。

『源氏物語』奥深いです!

参加者の皆様、10か月間、本当にどうもありがとうございました!!

■横浜読書会では、今年2024年1月から毎月1回オンラインで『源氏物語』を一帖ずつ読む読書会を開催しています。

今回は、訳者自由です。

今までの10か月で一気に読み進めた読書会とはまた違い、ゆっくりと味わえる読書会となっています。

初めての方も、そうでない方も、少しでもご興味ある方は、ぜひ、いらしてください。お待ちしています。

途中回からでも大歓迎です!

【投稿者】naoko

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