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第27回(2/13)考える横浜読書会『金閣寺』

■参加者20名(男性7名、女性13名)でした。

 

 

課題本は三島由紀夫『金閣寺』。今回初めて読むという方が12名、再読の方が8名。再読の方は、学生など若いころに読んで、久しぶりの方が多かったです。

 

 

■まずは『金閣寺』全10章のうち、印象に残ったシーンはどの章だったかを挙げ、その理由を説明していただきました。

第5章      5名 友人が鶴川から柏木に入れ替わってくるところ、全体の中で物語が動く など

第10章      4名 金閣寺の美の描写が圧倒的で素晴らしい など

第2章      3名 南禅寺のシーンがとてもエロティックで印象的 など

第1、8、6章  各2名

第3、4章    各1名

 

皆さんの印象に残った章・シーンが、予想以上に様々でした。

 

 

■次に、事前にお配りしておいた資料に基づき、『金閣寺』発表当時の反響や三島由紀夫の経歴について、『金閣寺』と関連づけて簡単に解説しました。海外での三島由紀夫の評価や映像化・舞台化に向いている作品であること、また、三島の生い立ち・経歴の作品への影響などについて様々な意見・感想が挙げられ、序盤から熱いディスカッションになりました。

 

 

■さらに、三島由紀夫自身が時間をかけて取材し構想を練って『金閣寺』を執筆したこと、臨済録示衆の一節と南泉斬猫の公案などについて、資料で説明したあと、溝口または三島にとって金閣寺とは何だったのかについて、多くのご意見・感想が出されました。

 

 

■その後、資料で実際の金閣寺放火事件と小説『金閣寺』との相違点などを挙げた後、有為子、鶴川、柏木、老師と禅海和尚などの登場人物について、ディスカッションをしていきました。「有為子=金閣寺」ではという意見が出たり、第1章での有為子の行動の意図、有為子の名前の意味、本文中の「有為子は留守だった」の「留守」という表現が意味すること、鶴川・柏木・溝口の微妙な関係など、次から次へと新しい解釈や意見がでて、非常に熱いディスカッションになりました。

時間もオーバーとなり、「溝口が外国人兵の情婦を踏みつける意味」「由良から帰る時の溝口の気持ち」「なぜ溝口は手記を書き誰に向けて書いているのか」など、まだまだ話し足りないところもありました。それだけ『金閣寺』は読み応えのある作品なのだと思います。

 

 

■最後に今回の読書会を終えての、感想をお伺いしました。

・一文一文に意味がある非常にうまくできた小説

・ごちそうすぎるくらい美しい的確な描写が盛り込まれておなか一杯になる作品。

・いろんな読み方ができる作品。

・第1章で有為子が溝口にやさしくしていたら金閣寺は燃えなかった?

・外国人が読んでわかりやすい作品なのではないか

・溝口も三島もこじらせ男子

・表現が素晴らしく場面が目に浮かぶ

・最初から最後まで一文一文洗練された文章

・三島作品は避けてきたけれどこの機会に読むことができてよかった

など

 

他に、もう一度再読したといった感想も何人もの方から上がりました。

 

20名の知と感性が結集され、多くの方の解釈やご意見をお聞きすることができ、ひとりで『金閣寺』を読むより何倍も深く読み解くことができました。読書会の醍醐味を味わえた会でした。ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。

 

【投稿者】NAOKO

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