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これまでの読書会

第18回(6/8)考える横浜読書会 『カラマーゾフの兄弟』第四部・エピローグ

■参加者18名(男性8名、女性10名)での読書会でした。

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』が課題図書の読書会も第四回の最終回、課題範囲は第四部およびエピローグです。
第四部では苦悩するイワンと謎めいたスメルジャコフの振る舞い、中学生とアレクセイの交流、そして父親殺しの嫌疑をかけられたドミートリイの裁判の様子が描かれます。

【ご紹介いただいた本】

■参加者の感想

参加者の中には、これまで『カラマーゾフの兄弟』を読もうとして途中で挫折した方もいらっしゃいました。そのためまずは完読したことを皆で祝い、読破した感想を伺いました。

・とにかく長かった。
・せっかく読み終わったのに、読み終わったという達成感があまり無い。
・このケリのつかなさ感はなんなのだろう。
・この終わり方はなんなのか。
・楽しんで読むという小説ではないと思った。

読み切った!という達成感よりも、心にざらざらとしたものが残ったという方が多数いらっしゃいました。また登場人物について様々な意見が出ました。

・読み終わると、イワンのイメージが変わった。
・カテリーナには終始違和感を感じる。
・そんなに仲が良いわけでもない兄弟なのに、いざとなるとかばいあうのだなと思った。
・ドミートリイもイワンもアレクセイも、皆ドストエフスキーの分身なのだろうと感じた。
・コーリャが気になる。賢くて優しい子だが、人間味に欠けるところがある。
・スメルジャコフがなぜ死んだのか納得がいかない。 →ストーリーの展開として、スメルジャコフが生き延びるといろいろと困りそう。理由をうまく描けなかったのは作者の限界なのか。
・亡くなってすぐに腐臭が立ち込めたゾシマ長老とは対照的に、イリューシャの遺体からは臭気が立たないのが印象的だった。
・『カラマーゾフの兄弟』は父と子の物語なのだと思った。

そのほか、長い裁判の場面で近代的な裁判を批判していること、近代化(ヨーロッパ化)によって自分で自分を支えていかなくてはいけない時代になっていることなどが指摘されました。またミハイル・バフチンのポリフォニー論や亀山郁夫のラジオ講座についても話題に上りました。

4回に分けて読書会を行ったとはいえ、あらゆるものが詰まった『カラマーゾフの兄弟』を語るにはあまりにも短い時間だったと思います。読み終わってすっきり、とはいかない作品ですが、今後も何かの拍子に『カラマーゾフの兄弟』を思い出すことで、参加者の皆様の心の中でじっくりと熟成されていくと良いなと思っています。

参加者の皆様、ありがとうございました。

【投稿者】KINO

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