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超絶道楽の道

横浜読書会KURIBOOKSは2019年2月をもちまして6年目に突入しました。参加者のみなさまには毎回新鮮な気持ちで読書の楽しさを教えていただいております。

皆さんが読書会で紹介しなければもう二度と出合うことはなかったと思う本達。私の手のひらからこぼれ落ちたその面白い本達に、もう一度出会うことができて読むきっかけを与えてくれました。

参加者のみなさま!ありがとうございます。

「読書会に関するアイデアをよく思い付きますね」と言われます。はい、今のところ創造力が枯渇することはなく、荒ぶる欲望はとどまるところを知りません。大人げなくスピンオフもたくさん企画したいと思っています。ただただ、楽しいことを読書好きとシェアしたいという想いでここまで続けてきました。

読書会に参加したところで何かの役に立つわけではないし、賢くなるわけでもないかもしれません。超絶道楽の道を究めたいと思います。これからもどうか寛大な心で、遊び心満載の読書会に来てくださいね。

”仕事は少しは捗ったかね。”

『西瓜喰う人』牧野信一(著)

神奈川県小田原市出身。17年間の作家生活の中で珠玉の短編を残し、縊死自殺を遂げた。享年39歳。

滝と余との関係がくすぐったい。いつも一緒にいたり、隣の部屋で寝ていたり、いぶかしげでもある。滝にとっての余は、昔ながらのただの友達。余にとっての滝は、あくまでもただの滝であるだけ。

作家である滝の書斎は硝子貼り。傍観者の余は、先日の夏の出来事をどうして書けないのか、と問いかける。蜜柑の収穫の季節や、凧揚げなど楽しい日々はあったのでは、と思うから。

“あれはあれでもう済んでしまった気がするんだ”

“仕事に没頭すれば、全生活が仕事になってしまう…”

また、著者Bも登場する。一体この3人の関係は?謎は深まるばかり。ややこしく不明瞭で不気味な中の透明感。最後の西瓜を喰らうシーンですべてが解き明かされるのだが。

ああ、書けない、書けない。そんな行き詰まりを感じた時の気持ちに寄り添う作品。無力感に苛まれる前に天才が書いたシュールなこの一冊を読んで欲しい。

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