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2020.5.10 手紙 OKA

こんにちは。

朝の横浜読書会ファシリテーターのOKAです。皆様いかがお過ごしでしょうか。

手紙というといろいろな手紙がありますが、書簡体の小説もありますし、文豪がやり取りした手紙を集めた本もありますね。

もっと広い意味で、自分の考えやメッセージを他の人に伝えるということも手紙の役割かなと思いながら自宅の本棚を見ていると、この本が目に留まりました。

バックミンスター・フラーは、”宇宙船地球号”という考え方を広めた人として有名です。また、ジオデシックドームやテンセグリティといった構造を提唱し、ダイマクション・ハウスやダイマクション・カーなどの発明、さらには大都市全体をドームで覆う構想から、巨大なドームに入って空を漂う都市(クラウド・ナイン)といったアイデアを次々に発表した人でもあります。

wikipediaでは、職業:思想家、デザイナー、構造家、発明家、詩人 とされています。エンジニアであり、ビジョナリーでもあり、といったところでしょうか。

この本は、そのバックミンスター・フラーが、3人の子供(2人の男の子と1人の女の子)に、自身の哲学、宇宙論、地球に対する考えなどを説明してゆく対話のセッションを収録したものです。

ところどころに手書きの図解が挟まれ、フラーの思考世界の簡単な入門書ともなっています。学校で習うような常識的な世界の捉えかたを離れ、簡単な幾何学から展開される彼独特の世界の捉え方が明らかになっていくセッションの内容や、子供たちとの対話の様子が楽しく描かれています。

このセッションの数年後、フラーは心臓麻痺で亡くなりました。その翌日、このセッションに参加した男の子の一人はこう言っています。

「きのうの夜、彼が亡くなったって聞いて、最後のミーティングのとき、彼が生命と死と再生のことを話していたのを思い出したんだ」ベンは私に思い出をよみがえらせた。「あなたも知っているように、バッキーは今も生きていて、やらなきゃいけないと思っていることを、今もきっとやっているんだよね」

世界のあらゆる本は、同じ時代に生きる人々や、後の世代へと手渡される手紙ともいえるのではないでしょうか。

自分もだんだん年を取り、手紙を受け取る側というよりこれからは発信していく側になっていっているのかなと今更のように思ったりしております。

今週紹介した本です。

・フラーがぼくたちに話したこと
リチャード・J・ブレネマン&バックミンスター・フラー/芦沢高志・高岸道子訳/めるくまーる

それでは、いつか読書会でお会いしましょう!

【投稿者】OKA 2020.5.10

明日は、横浜読書会のKURIへバトンタッチ!

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