2020.5.2 凄い! Yuning
こんにちは、Yuningです。
本と同じぐらい映画も好きで、ミニシアター系の作品をよく観に行きます。横浜読書会の会場にもほど近い黄金町の「ジャック&ベティ」がホームですが、そこも今はお休みになってしまいました。一日も早い復活を待っています。
さて、2017年に公開された「ホームレス/ニューヨークと寝た男(原題:Homme Less)」という映画が凄い!のです。この作品は、ニューヨークの”世界一スタイリッシュなホームレス”ことマーク・レイ氏の型破りな生き方に密着したドキュメンタリー映画で、本人が来日したことでも話題になりました。
端正な顔立ちのマーク・レイ氏はファッションモデル兼フォトグラファーで、188cmの長身にデザイナーズスーツを着こなし、どこから見てもセレブのような出で立ちなのですが、実は何年もアパートの屋上で寝泊まりするホームレスなのでした。華やかなファッション業界に身を置きながら、凍えるマンハッタンの冬空でも防水シートの下の寝袋で眠り、公衆トイレで服を洗い着替えている映像に観客は驚きます。52歳になるマークは、そんな生活をもう6年間も続けていました。
マークは決して自堕落に生きてきたわけではなく、アルコールやドラッグの依存症でもありません。中流家庭に育って大学も卒業し、仲の良い家族や友人もいて、若い頃はヨーロッパに渡ってモデルとして活躍したこともありました。容姿に恵まれ努力もしてきたけれど、それでもニューヨークで屋根のある家に住むことはできなかった。移民でもなく言葉にも不自由しないアメリカ人の彼が置かれている境遇は、我々にアメリカンドリームの遠さを見せつけます。
マークは自分の生活状態を長らく周囲に隠していましたが、昔のモデル仲間だったトーマス・ビルテンゾーンが彼と再会してその境遇に衝撃を受け、キャノンのデジタル一眼を手に密着取材を始めたのでした。最初は「自分はこの生活を楽しんでいるよ」という余裕も見せていたマークでしたが、やがて「眠れない夜はどこで間違えたのだろうと考える」と本音を漏らします。ラストでは、こんな自分と真摯に向き合ってくれたトーマスの友情に涙ながらに礼を言い、その言葉が私たちの胸を打ちます。
人生に大切なのは冒険か、自由か、それとも屋根のある生活か――。屋根の下で布団に入りながら、つい考えてしまう問題です。
それではまた次回。Yuningでした。
【投稿者】Yuning
明日は朝の横浜読書会のOKAさんへバトンタッチ!