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ジェイン・オースティンについてKURI

運命の人が”現実”じゃなかっただけ。本の中で生きていることもあろう。そんな登場人物に命を吹き込む作家に感謝!

『分別と多感』 『高慢と偏見』『エマ』『マンスフィールド・パーク』 『ノーサンガー・アビー』 『説得』 ジェイン・オースティン(著)

ジェイン・オースティンは言わずもがなイギリス近代小説(ゴシック小説)最高峰の女流作家。『高慢と偏見』の名文と共に10ポンドの紙幣になるくらいだ。当時のジョージ4世も彼女の作品を愛読していたらしい。モームは『世界の十大小説』で『高慢と偏見』を取り上げており、世界文学の巨匠ナボコフは『ナボコフの文学講義』の中で『マンスフィールド・パーク』を紹介している。彼女の筆に込めた物語は200年にわたって世界中から愛され、親しまれ、そして、今も読み継がれている。

彼女が生涯のうちに残した6作品はどれも拍子抜けするくらい軽いタッチのエンターテイメントラブコメディ。小さな街で平凡に暮らし、生涯独身だった彼女は、どのような気持ちで、この恋物語を書き綴っていたのだろうか。

当時のイギリスの女性は経済的に自立することは難しく、かといって遺産相続権もなかったため、若い女性の関心事は“より良いお金持ちの男性と結婚すること”だった。しかし、そんな価値観にとらわれずに自立心ある賢い女性も存在したはずだ。そう、ジェイン・オースティンのように。そんな女性が富と知性と教養にあふれた英国紳士と恋に落ちたらどうなるのだろう。ジェイン・オースティンの恋愛小説の幕が上がる。

ありきたりな日常から起こる心の機微を描く天才は、人物描写にたけ、俗物に容赦なく切り込む。そのため読み進めるうちに、近所のおばさんの噂話を延々と聞かされている感覚に陥るのだが、それまた実に面白く噴飯ものだ。かと思えば、恋愛小説において最高に盛り上がる恋が実るシーンはあっさりと書き終えたりして、憎い演出となる。

どうしてなのだろう。 彼女の作品は大したことが書いていないのになぜかページをめくる手が止まらない。読後の満足感は何物にも代えがたく、幸せな気持ちになれる。オースティンの偉大さを知る瞬間である。

世界中の恋する乙女たちへ、彼女の描くラブストーリーに勇気をもらおう。

【投稿者】KURI

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