第14回(8/25)考える横浜読書会『モモ』

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■参加者18名(男性6名、女性12名)での読書会でした。

8月開催の読書会ということで、夏の課題図書のようなイメージでミヒャエル・エンデの『モモ』を課題本に選びました。いつもより人数の多い会となりましたが、いろいろな意見を聞きたかったのでグループに分けることはせず、ひとつのテーブルを囲んで全員で話をしました。

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■著者経歴
・1929年、バイエルン州に画家の息子として生まれる。第二次世界大戦末期には召集令状を破り捨てて逃亡し、反ナチス地下抵抗組織の伝令となって働いた。
・1960年、友人の勧めで書いた『ジム・ボタンの機関車大旅行』で作家デビューしドイツ児童文学賞を受賞。
・1971年にイタリアのローマに移住し『モモ』の執筆を開始、1973年に刊行。
・1979年に刊行された『はてしない物語』が大ベストセラーとなった。
・1995年、胃がんにより65歳で死去。

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■『モモ』について
ちいさな女の子モモが、灰色の男たちから人々が盗まれた「時間」を取り戻す話です。1973年に刊行されてからじわじわと評判を高め、30以上の言語に訳される世界的なベストセラーとなりました。なお表紙や挿絵はすべて、エンデ自身が描いています。

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■参加者の感想

**ちいさい「おはなし」について

「時間どろぼうがなかなか出てこないのが前半ずっと気になっていた」という意見もある通り、物語の前半は登場人物の紹介などにページが割かれています。その中でも存在感を放つのが、本筋のストーリーとは別に書かれた「おはなし」です。今回の読書会では、参加者の皆様に、事前にどの「おはなし」が特に印象深かったかを考えてきてもらうようお願いしていました。自己紹介の時に教えていただいた結果は以下の通りです。

・暴風雨ごっこ、研究船<アルゴ号>のぼうけん(第3章):7名
・女帝の金魚(第5章):3名
・マルクセンティウス・コムヌスの新しい地球(第5章):2名
・モモ姫とジロラモ王子の魔法の鏡(第5章):4名

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暴風雨ごっこのお話が最も人気が高い結果となりました。子どもの頃、時間を忘れて遊んだ記憶が蘇った、冒険にわくわくする気持ちを思い出させてくれた、等の感想が出ました。また魔法の鏡のおはなしは女性の参加者に人気がありました。モモは普段ぼろぼろの服を着ているけれどお姫様に憧れるあたりがやはり女の子だと思った、ジローラモが本当にモモを大事にしているのが良くわかる、という感想が出ました。

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**時間の倹約と灰色の男たちについて

時間を盗まれた人々が、次第に時間に追い立てられるような生活をするようになることや、灰色の男たちの正体について、さまざまな意見が出ました。

・人間は、「肉体と魂」ではなく「肉体と魂と時間」でできているのだと思った。
・効率よく仕事を済ませることで所要時間を短縮することも大事なことだと思う。
・盗まれた時間を人々に返すために、一時間という制限時間が設けられて いるのが面白い。制限時間内に事を成すには効率よく動かなくてはならないが このときの「時間を無駄にする」「効率よく動く」の意味が、時間を盗まれた 人々がやってきた「時間の倹約」とは異なっている。
・「効率が良い」ことが悪いわけではないことはエンデ自身もわかっていると思われる。忙しさに心が荒んでいくことが良くない。
・幸福を感じられる時間は無駄ではない。「時間の倹約」の結果、好きなことをするのが楽しくなくなっていくのがつらい

・時間どろぼうがどんどん増えていくのに比べて、死ぬ時のあっけなさが印象的だった。
・灰色の男たちは死者なのか?ナチスの収容所という説もある。
・時間を盗まれないモモの中には、灰色の男の部分があるのでは?

また灰色の男たちが吸い続ける「葉巻」に代わるアイテムはあるか?という話題で盛り上がりました。飴などの意見も出ましたが、「人々から盗んだ時間を消費して消える煙に変えてしまう」ところが灰色の男たちにとてもよく合っていて、葉巻に勝るアイテムはないとの結論に至りました。

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**モモという主人公について

エンデはなぜモモのような女の子を主人公にしたのか?という話が出ました。

・かわいらしいわけでもない、お金もない無力な女の子を主人公にもってきた のはなぜなのか?
・人の話を聴くだけというのは難しい。人の話を聴くのが上手というのはすごいこと。
・モモはひとりでは無力。まわりにともだちがいないときのモモの一日はとても長い。
・モモは「無用の用」のような存在で、そこにいるだけでなぜか人が寄ってくる。
・話を聴くだけで話をした相手の悩みが解決するというのは、コーチングのようだ。

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物語の最後では、モモの活躍によって盗まれた時間が人々に返されます。しかしこれからも同じように、人々の時間は灰色の男たちによって盗まれてしまう可能性は残っています。『モモ』は時代によって捉え方が異なり、読む年齢によって感じることが変わるとしても、その時々に新しい発見があり、何度も繰り返し読むことができる物語だと思います。

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※KINOさん、感想をありがとうございます。

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