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これまでの読書会

第10回(1/10)ノンフィクション横浜読書会

2020年あけましておめでとうございます!Yuningです。
ノンフィクション読書会もついに10回目となり、12名(女性5名、男性7名、うち初参加1名)の方をお迎えして開催されました。
テーマは「伝記」で、一人の人間について深く掘り下げたお気に入りの本を持ち寄り、時間をオーバーする白熱した会となりました。
 
それでは持ち寄られた本のご紹介に参りましょう。
【ご紹介いただいた本】
 
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<ベートーヴェンの生涯> 青木やよひ著
著者は20代よりベートーヴェン研究に取り組み、半世紀あまりに渡るライフワークの大成として死後に本書が出版された。難聴だったことで有名なベートーヴェンだが、骨伝導によって音を聴くことはできたらしく、ちゃんと音を聴いて作曲していたようである。情熱を持って生きた一人の人間としてベートーヴェンの姿をいきいきと描き出した名著。
 
<新約聖書 福音書> 塚本虎二著
新約聖書の最初におかれた福音書は、4人の弟子たちがイエス・キリストの言行をそれぞれ書き記し、喜ばしきおとずれとして告げ知らせたものである。これまでに数々の翻訳がなされてきたが、今までの伝統にとらわれることなく、分かりやすさを重視して訳し直された本書はキリスト教入門編にも最適だ。
 
<そうか、もう君はいないのか> 城山三郎著
<ぼくたちの離婚> 稲田豊史著
四歳年上の夫としては、まさか妻が先に逝くなどとは思いもしなかったー。数多くの経済小説を生み出した作家が最後に遺したのは、亡き妻との想い出を綴った手記だった。あとがきを寄稿した児玉清は、「タイトルを目にした時の、胸に鋭い一撃をくらったような衝撃」を語っている。かと思えば、今度はそれぞれの夫婦が離婚に至った軌跡を追う本が続けて紹介され、結婚の奥深さに唸る。
 
<僕は僕のままで> タン・フランス著
アメリカの大人気番組「クィア・アイ」の出演者が、自分の半生を飾らずに振り返ったエッセイ。ブラウンの肌に対する差別、事業家としての成功とどん底、ゲイであることや夫との出会いを通して、自分の心に素直に生きることの大切さを伝えてくれる。前向きな勇気だけではなく、随所にイギリス人らしいブラックユーモアを織り交ぜてあるのがスパイスとして効いている。
 
<生命科学者たちのむこうみずな日常と華麗なる研究> 仲野徹著
自身も生命科学者である著者が、古今の18名の研究者を選りすぐり、その独創的でむちゃくちゃだけれども見事な人生と研究内容を解説した一冊。専門用語も駆使しつつ、緻密な内容を軽やかなタッチで描いた本書は、もし無人島に本を3冊持って行くとしたら選びたい1冊とまで紹介者に言わせている。著者自身が経験した研究における栄光と挫折もリアルで、一読の価値がある。
 
<ピアノはともだち 奇跡のピアニスト 辻井伸行の秘密> こうやまのりお著
全盲で生まれた辻井伸行が、行動的で力強い母親に支えられながら、ピアニストとして成功する姿を描く。目が見えないからといって家に閉じこもることをせず、健常者と同じように様々な体験をさせたことで、幼い頃から片鱗を見せていた彼の音楽の才能が大きく開花してゆくちなみに紹介者はまだ彼のピアノ曲を聴いたことがなかったらしく、これから聴くのが楽しみだとコメントしていた。
 
<ソロモンに散った聯合艦隊参謀> 高嶋博視著
その他に比類ない頭脳から「帝国海軍の至宝」と呼ばれた伝説の海軍士官・樋端久利雄の生涯を描いた評伝。数々の重要作戦に関わったが、山本五十六の偵察に同行してブーゲンビル島上空で撃墜され、その際に「山本の代わりはいても彼の代わりはいない」とまで言われた。映画化されて話題になった「アルキメデスの大戦」の内容にも大きく関わる一冊。
 
<圓生百席(CD)><圓生の録音室> 京須偕充著
絶頂期にあった六代目三遊亭円生の寄席をレコードに録音し続けた若き担当者から見た名人の情熱と素顔に迫る。収録された百席すべての出囃子(高座に上がる際にかかる音楽)も枕(世間話や本題と関連する小咄)も同じものは一つとしてなく、違う録音担当者では呼吸が合わなかったなど、互いに芸の高みを目指してそれぞれのプロフェッショナリズムを極めた。
 
<マイ・ストーリー> イングリッド・バーグマン著
<Me> キャサリン・ヘプバーン著
<モンロー・トーク> フウス・ライテルス著
イングリッド・バーグマン、キャサリン・ヘプバーン、マリリン・モンロー、一世を風靡した名女優たちは、一人の女性としてどんな人生を生きたのかー。夫も子供も捨てて恋に生きたことでハリウッドからバッシングされたバーグマン、オスカー賞最多受賞ながら一度も授賞式に参加しなかったヘプバーン、その死を聞いて「頭のいい女性がバカなふりをする時代は終わった」と向田邦子が評したモンロー。その素顔はやっぱり銀幕の向こうに隠されたままだ。
 
<フランクルの回想録> ヴィクトール・E. フランクル著
ナチス強制収容所を生きのびて「夜と霧」を著したフランクル博士が、90年の人生を振り返って綴った心温まる自伝。強制収容所では生きる希望を失わなかったこと、そして大胆で抜け目ない行動が自らの命を救う。60歳をこえてもクライミングに挑み、ユーモアを忘れずに92歳の人生を全うした。同時代に生きたアドラーとは色々あったようだが、それも意外な一面を垣間見せて面白い。
 
<マザー・テレサ 愛の花束> 中井俊已著
マザー・テレサは40歳で神の天啓を受けてインドのコルカタ(旧カルカッタ)で貧しい人々の救済に尽くし、70歳でノーベル平和賞を受賞。死後は政治的指導者以外では初めてインドの国葬に付された。その生い立ちと行動力の源となった信念、教え子たちの支え、そしてシスター・テレサがマザー・テレサとなって大きく世界を変えていく軌跡を描く。バチカンで聖人として認められる(列聖)ために必要な奇跡の事象など、ためになるキリスト教の知識も楽しい。
 
<吉田松蔭> 徳富蘇峰著
<吉田松陰 武と儒による人間像> 河上徹太郎著
<留魂録> 吉田松陰著
吉田松蔭に関する2冊、そして投獄された松蔭が処刑の前日まで書き続けたという「留魂録」が、短い生涯を激しく燃やして日本の近代史を大きく動かした思想的巨人の姿を描き出す。その情熱ゆえに若くして死を迎えるも、その志を継ぐ者たちによって明治維新が推し進められ、今なおそのエネルギーは読む者を惹き付ける。孔子の思想を発展させた孟子、その孟子の思想を身をもって体現し、同時代の人々に伝え残した松蔭。ドラマよりもずっと深い理解を本書でどうぞ。
 
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いかがでしたか。外の寒さも吹き飛ばすぐらいアツい内容だったことが伝わったのではないかと思います。
みなさんがまだまだ語り足りなかったテーマは、今後の読書会でアンコールをやることもあるかもしれません。
 
あなたもぜひ一緒に知的冒険に出かけませんか。
 
【投稿者】Yuning

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