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これまでの読書会

第8回(11/8)ノンフィクション横浜読書会

一ヶ月前の前回の読書会の時にはまだ夕空が明るかったのに、11月の18時30分ともなるとすっかり暗くなってきました。
こんばんは。第8回 ノンフィクションの夜(ノンフィクション横浜読書会)へようこそ。FUJIです。

今回は男性6名、女性4名。初参加という方も1名いらっしゃいました。
さて、これまでノンフィクション夜では毎回皆さんの気に入ったノンフィクション本を紹介していただいていました。しかし、今回からの試みとしてテーマを設けて、そのテーマに関連するノンフィクション本を持ち寄っていただく形にしてみました。
その記念すべき最初のテーマは「自然・科学・生物」です。

では、どんなノンフィクションが集まったのか。ご紹介しましょう

【ご紹介頂いた本】

■生き物の死にざま
29種類の動物の死に方を紹介している本。生き物は必ず死ぬとしたら、いったい何のために生きているのでしょう?それは次の生、つまり子孫につなぐため。そうとわかっていてもなかなか割り切れません。ご紹介してくださったのは男性の方ですが、この中で紹介されているアンコウのオスの生涯を知り、男って哀れだなとしんみりしてしまったそうです。

■科学でアートを見てみたら
自分は文系人間なので果たして科学というテーマで本を紹介できるだろうかとちょっと不安になりつつ、この本を手にとったそうです。これは有名な芸術作品に科学の側面から光を当ててみようというものです。例えばレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「斜方立方八面体」という立体図形。よく見ると「騙し絵」の如く実際にはあり得ない形になっているそうです。画家で科学者でもあったダ・ヴィンチがそんなあり得ない立体を誤って描くはずがない。ということはダ・ヴィンチはこれが作れない立体であると知りながら、いかにも存在しそうにみえるように描いたのではないか、、、そんなちょっと違う角度から見るアートの話が詰まった本だそうです。

■医学の歴史大図鑑
ネアンデルタール人の頃から現代まで、医学の進歩と医学に関する様々な話題や道具、技術について書かれた図説。ネアンデルタール人の内臓の中からはある草が出てくるそうです。しかし、その草というのはとても不味い、食べたいと思えるような味の草ではない。だとすると、ネアンデルタール人はこれを薬、つまり薬草と知って食べていたのではないか?など。図も豊富にあるのでどのページをめくっても面白く読める内容になっている本です

■天気と気象について わかっていることいないこと
この本をご紹介くださった方は天気に興味があり、気象予報士の資格をとる勉強を兼ねて読まれたそうです。数人の筆者による合作の本です。今や気象衛星やコンピュータも駆使し、天気予報も進化しましたが、未だに観測機器の設置が難しい海上などでは目視やバルーンを使ったアナログな観測も重要な手段であるという話や、ハリケーンなどの強さを表すFという単位を作ったのは日本人(Fはフジタ)という話など、気象好きにはおすすめの一冊。

■水俣病の科学
チッソの工場から川に流された工業廃水に含まれる水銀によって汚染された魚介類を食べていた人たちに発症し、20世紀における公害被害の代名詞ともなった水俣病。その人間に対する害は広く知れ渡ることとなったが、実は何が原因でこの被害が起きるに至ったのかという因果関係は必ずしも明らかになっていないという。例えば端的にはチッソが行っていたアセチレンからアセトアルデヒドを製造することは他社もやっており、他社も工業廃水を川に流していた。しかもそれは戦前から行なってきたことであるにもかかわらず、なぜ戦後になって、何十年も経ってから水俣病という症例になってあらわれてきたのか。その謎の解明に迫った本。

■生命の意味論
何年も前に購入して、ずっと積読本となっていたものを今回の読書会で紹介するために手に取ってみたそうです。免疫学の博士が書いた本で、これより先に「免疫の意味論」という本が出ており、その続編?と思われるそうです。免疫学の博士らしく生物の細胞がどう作られるか?という話などから始まるものの、そこから都市を細胞に見立てた都市論や文化論のような方向に発展していくそうです。

■ホットゾーン
1976年スーダンで初めて発症が確認されたエボラ出血熱。エボラウィルスという紐状のウィルスが血管のタンパク質を分解することで臓器から大量に出血し、死に至らしめる。本書はエボラ出血熱に関する研究、人間との戦いについて書かれている。
エボラ出血熱は感染した場合の致死率は25%〜90%。接触によってほぼ100%感染する。一方で感染力が強く、致死率が高いが故に、次の人間に感染する前に感染者が死亡してしまうケースも多く、それによって大規模な感染に至らずに済んでいるとも言われているそうです。現時点では、有効なワクチンもないため、発症したら封じ込める以外に対策がないという非常に凶悪なウィルスです。

■150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか
今ではノーベル賞を取るような一流の科学者の論文等が掲載される科学誌として有名な「NATURE」。「NATURE」は創刊されて150年になるそうですが、その150年前の「NATURE」は一般の人向けに書かれた科学雑誌だったそうです。一般人とチャールズ・ダーウィンのような科学者がNATURE上で意見の交換をしたり、「カッコウの卵の色は何色か?」ということについて、全国の読者がそれぞれが見たカッコウの卵の色を報告したり、まるで現在のSNSのような活況を呈したいたという意外な一面が紹介されています。

■眼の誕生ーカンブリア紀大進化の謎を解く
カンブリア紀の生物大爆発、と言えば多くの書籍やテレビなどでもよく取り上げられるテーマです。5億年前のカンブリア紀には、今の生物の姿からは想像もつかないような奇妙で特徴的な形態をもった多種多様な生物が急増します。この生物進化の大爆発を取り上げた本は沢山ありますが、ではその進化の大爆発が何故起きたのか?その引き金となったものは何だったのか?という問いに答えられている本はほとんどありません。この本の筆者は「光」が生物に与える影響の大きさに着目し、光を感じ、それを像として脳で認識する視覚=眼を得たことがこの大進化の起爆剤になったという「光スイッチ説」を紹介しています。

■パンドラの種 農耕文明が開け放った災いの箱
1万年前に狩猟民族から農耕民族へと変化した人類。これによって人類は人口が爆発的に増え、今の繁栄を迎えることになりました。しかし、その一方で人間は多様な病にもかかるようになった。これは本来の人間の生理と農耕が合っていないからではないか?というところを遺伝学などの観点から読み解きます。

■顔ニモマケズ ―どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語
様々な理由で顔面などの外見に奇形などがある人々。単に外見が人と異なるというだけで、様々な差別を受けてしまう人たち。彼らはその差別に傷つき、悩みもするものの、それと自分の折り合いをつけて、それを乗り越えて幸せを感じるに至った人もいる。そんな見た目の問題を乗り越えてきた人たちの実話の物語。

いかがでしょう?「自然・科学・生物」とテーマを設定したら持ち寄られる本のジャンルが絞られるかと思っていたのですが、意外にも社会的なもの、文化史、芸術などもありバリエーションは豊かになったかもしれないとも感じました。

ノンフィクションの夜は毎月1回、平日の夜18時30分から関内駅に近い吉田町のArchiship Library & Cafe で開かれるノンフィクション本限定の読書会です。仕事帰り、学校帰りの参加大歓迎。少しくらいの遅刻も問題ありません。これからますます寒くなります。寒い夜に皆さんで熱くノンフィクション本について語り合いませんか?お待ちしています。

【投稿者】FUJI

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