REPORT
これまでの読書会
第51回考える読書会 『源氏物語』第9回(早蕨~東屋)
■参加者13名(男性5名、女性8名)でした。
『源氏物語』を読み進めていく企画の第9回目(全10回)。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいています。
今回は、アーサー・ウェイリー版『源氏物語』(左右社)訳者の毬矢まりえ様と森山恵様姉妹をお招きしての読書会でした。
前半は通常の読書会と同じく解説・感想の共有・ディスカッション、後半は毬矢様・森山様お二人にお話をいただき、質疑応答という内容で読書会を進めました。
■皆さんに「薫と匂宮、どちら派か」をお聞きしました。
・薫派 8名
・匂宮派 4名
・どちらか選べない 1名
昨年は、匂宮派の方が多かったのですが、今年は薫派の方が多く、昨年は匂宮派だった方も今年は薫がいいという方もいらっしゃいました。
「薫はいい人ぶっているから匂宮の方がいい」「匂宮はあてにならないから薫」というように、ここがいいという積極的な理由ではなく、どちらかといえばという回答が多かったです。
■配布資料では『源氏物語』の影響を受けた作品やパロディ作品などを簡単に紹介しました。
江戸時代から現代にいたるまで、『源氏物語』が多くの作家に影響・刺激を与え続けていて、それだけ多くのテーマを内包し、読み深めたいものがある物語なのだと、『源氏物語』の偉大さに驚きます。翻案小説を読むと、各作家さんの源氏物語の意外な解釈を知ることができ、自分の源氏物語の読み取りも深まります。
■感想など
・中君がだんだん強くなっている
・浮舟がその名の通り、ふらふらして、かわいそう
・浮舟はアイデンティティーが希薄で存在が薄い
・匂宮は、柏木から光源氏なのではないか
・正編のスーパーヒーローの話がなくなった
・正編のようにワクワクしなくなってきて週刊誌のゴシップレベルの話になったような気がする
・正編より内面を詳しく書いてあり、このような心理劇を1000年も前に書いたことに驚く
・紫式部は自分の生い立ちをふくめ、いろんな自分自身の心の叫びを、登場人物たちに語らせている
・周りからどう見られるかを登場人物たちは気にしていて、1000年前から日本人は変わらないと思った
など
浮舟の母のように召人で妊娠してしまったケースは正編では出てきません。宇治十帖では、正編では書かれていない女房や召人の人生、またその娘たちの行く末が詳しく書かれており、彼女たちの人生について話が盛り上がり、どのような生き方が当時の女性の幸せな生き方なのか考えさせられました。
■後半は、アーサー・ウェイリー版『源氏物語』(左右社)訳者の毬矢まりえ・森山恵姉妹にお話をいただきました。
「『源氏物語』とのお二人の出会いについて」「『源氏物語』について思うこと」「アーサー・ウェイリー版『源氏物語』の翻訳するときに気を遣った点」など、たくさんの貴重なお話をしていただきました。
お話を伺って、お二人が翻訳されたアーサー・ウェイリー版『源氏物語』をぜひとも読んで、「日本だけでなく、世界で共感できる普遍的なもの」を感じ取り「新たな源氏物語の世界へ想像力を羽ばたかせてみたい」と、熱い思いで胸がいっぱいになりました。
その後、参加者全員が一つずつ質問をし、お二人にはとてもご丁寧にお答えいただき、贅沢な時間でした。毬矢・森山姉妹の源氏物語愛をとても感じられました。
質疑応答はどれも深い内容でした。今回の範囲の宇治十帖について「東育ちの教養もない浮舟の魂が深まっていく物語」とおっしゃっていたのが、とても印象に残りました。
■今回の読書会は、毬矢・森山姉妹をお招きして、夢のような素敵な読書会となりました。
毬矢まりえ様・森山恵様、そしてご参加者の皆様、本当にどうもありがとうございました!
【投稿者】NAOKO
★★★ 追記 ★★★
読書会を終えて、参加者の皆様から姉妹への感謝のコメントがたくさん届きました。興奮冷めやらぬ様子が伝わり、読み返しては感動しております。以下、一部を抜粋してお伝えします。