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第50回考える読書会 『源氏物語』第8回(匂兵部卿~総角)

■参加者10名(男性4名、女性6名)でした。

 

『源氏物語』を読み進めていく企画の第8回目(全10回)。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいています。

 

 

■今回から、光源氏亡きあとの世界、宇治十帖が始まります。そこで、皆さんに「光源氏亡きあとの物語は『源氏物語』に必要か、必要でないか」をお聞きしました。

 

必要 4名

・正編は物語で宇治十帖は小説

・紫式部の書きたかったことを書いている

・映画「ゴッド・ファーザー」のように、パート2で作品の完成度が上っている

・作品は作者の物で紫式部には必要だった

・正編は読者受けするものを書き、紫式部は本当はこちらを書きたかった

・キラキラ物語の正編に比べ宇治十帖はヨーロッパ映画のよう、前編があるから味わい深い

・続編としてあってもよい

 

必要ない 1名

正編とは別物 1名

・宇治十帖は、別の話としてもよい

 

 

■配布資料では「宇治の橋姫伝説」「親王」などについて簡単に説明しました。

 

正編の政治権力中心の光の世界から、光なき陰の世界へ。京と鄙びた地を隔てる「川」と光と陰の世界を結ぶかのような「橋」。「霧」立ち込める山荘に登場する、繊細で可憐な悲哀の橋姫伝説を連想させる宇治の姫君たち。「宇治=憂し」という響きの川から響き渡る川音。出生の暗い秘密を持つ薫から発せられる匂い。光源氏の権勢の裏で、不遇の人生を送ることになった親王・八の宮の仏道精進。

正編とは全く違う舞台設定の中、光源氏なきあとの幽玄な世界に引き込まれます。

 

 

■薫の匂いについては、多くの方が関心を持たれました。

 

「光源氏の血を継ぐ匂宮ではなく、光源氏の血を受け継いでいない薫が匂う」という点に注目された方がいて、罪の匂いなのか、頭中将の血が光源氏の血を超えた、ひっそりと暮らしたい薫にとって隠れられない悲哀、などいろいろなご意見・感想が出ました。

 

 

■感想など

 

・竹河の巻の玉鬘の奮闘ぶりが面白かった

・正編で登場した人物、玉鬘や真木柱などのその後がわかって楽しめた

・大君が妹想いで好感が持てた

・大君は人生のおいしいところを味わわずに亡くなりもったいないと思うが、ポリシーを貫いたという点ではすごい

・後ろ盾のない姫君の境遇が心に刺さる

・昨年読んだときには、薫がひどいと思ったが、再読では薫派孤独な人と読み取れた

・再読では、匂宮・八の宮の気持ちや立場も理解できた

・正編のきらびやかな世界観に比べて、宇治十帖は暗い

・正編と宇治十帖は男女の「すれ違い」をもう一度語り直した話ともいえる

・正編と宇治十帖はいろんなところで対比構造がある(辺鄙なところで仏道を極める明石の入道とその娘明石の君など)

・親王として陰謀に巻き込まれた八の宮と兄弟の仲で唯一臣籍降下された光源氏、頭中将の血を引く薫と光源氏の血を引く匂宮など、正編を受け継ぐ対比が面白い。

・スーパーマンの光源氏がいなくなり、物語にはじめは没入できなかった

・再読では宇治十帖が非常に面白かった

 

などなど

 

■ご参加くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!

【投稿者】NAOKO

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