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第11回(11/16)ミステリ横浜読書会「江戸川乱歩と横溝正史」2

■参加者15名(男性6名、女性9名)初参加は2名でした。

第11回は「江戸川乱歩と横溝正史」の第二回ということで、『江戸川乱歩傑作選(新潮文庫)』を課題本として江戸川乱歩を深く読み解きました。

 

自己紹介の後、私から乱歩作品の特徴がどのように変遷したのか、課題本に含まれる作品がどの時期に当たるのかなどを説明しました。その後、皆さんから傑作選の中で最も良いと思った作品と全体的な作品を頂き、さらに個別の作品について話し合いました。

【ご紹介いただいた本】

ここで参加者の人気ランキングトップ3とコメントを紹介します。

<第3位> 『心理試験』『赤い部屋』『屋根裏の散歩者』

同数で三作品が入りました。『心理試験』については、下敷きとなっている『罪と罰』の影響をかなり感じた。『赤い部屋』については、本作をはじめ乱歩作品は犯人の動機の異様さが何とも言えない。『屋根裏の散歩者』については、推理小説らしい構成をしつつもジャンル不能の乱歩作品らしさを感じた。などのコメントがありました。

<第2位> 『人間椅子』

人の身体に対する表現に惹きつけられる。文章でしか感じることのできない作品。小さい頃読んだ恐ろしい印象がやはり大人になっても蘇ってくる。まさに乱歩のエロ・グロ・ナンセンスを感じさせる作品だった。などのコメントがありました。

<第1位> 『芋虫』

・「ジョニーは戦場に行った」を思い出したが、乱歩の方が先に描いていた。

・グロテスクさが目立つがそれを取り除くと深い愛を感じて、非常に人間味を感じた。

・この作品は乱歩の中でも別格

・後味が悪いと確かに感じているのに、何故か引き込まれる。

・差別用語やそういった内容が若干含まれるため、現代では生まれにくい作品である。

・美しい-救いがないの絶妙なバランスでどちらにもとれるようで、不思議。

・夫婦ふたりの関係が共依存になっていて、通常踏み入れないところまで踏み込んでおり、それに愛を感じる。

などのコメントがありました。多くの方が一位にあげており、「愛とはなにか」という普段のミステリ読書会ではみられない領域まで深く語り合いました。乱歩自身や『芋虫』がもつ魅力が溢れだした議論だったかなと思います。

 

また他にも『陰獣』や『孤島の鬼』など課題本に収載されていない作品をご紹介くださったり、乱歩の文章全体の美しさや魔力について語りあったりと実に濃密な時間を過ごせたと思います。個人的には参加者の方がおっしゃった「江戸川乱歩に江戸川乱歩賞はとれないよな」っていう言葉が好きでした。乱歩の本質や変遷が詰まった一言だった気がします。

 

今後もミステリ横浜読書会では、ミステリを起点にして参加者のみなさまが楽しめる会が出来ればと考えております。ミステリが好きな方も、これからミステリを読んでみたい方もぜひぜひ遊びにきてください。

【投稿者】YONE

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