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YONEさんの第19回本格ミステリ大賞受賞記念トークショー&サイン会 参加レポート

YONEさんの第19回本格ミステリ大賞受賞記念トークショー&サイン会 参加レポート

 

2019年6月23日、私は西荻窪のとある洋菓子店の入り口を抜けました。右手に併設するカフェを無視して、左手の階段を上りました。目当ては新作スイーツ、ではなく私が購入したのは北村薫作品の新装版。

 

タイトルでネタバレしていますが、その日は老舗洋菓子店のこけし屋別館2階にて『第19回本格ミステリ大賞受賞記念トークショー&サイン会』が開催されました。念願の参加になります。というのも昨年は先着順で応募が行われ、開始5分後に全ての枠が埋まってしまっていたからです。今年は抽選に変更され、見事50名の枠の一つを勝ち取っていたのです。

 

本格ミステリ大賞とは、本格ミステリ作家クラブが主催する賞です。年間の最優秀作品が会員投票により決められ、小説部門と評論・研究部門の各々で大賞が与えられます。授賞式の次の日に開かれる読者向けのイベントがこの日にあたります。今年の受賞作は下記の二作です。

 

【小説部門】           『刀と傘』 伊吹亜門(東京創元社)

【評論・研究部門】  『乱歩謎解きクロニクル』 中相作(言視舎)

 

著者二人と推薦人の青柳碧人先生、乾くるみ先生、司会の芦辺拓先生の五人のトークショーでした。皆さんが魅力的な切り口で作品について触れ、気がつけばあっという間に時が過ぎておりました。ずっと語り続けたいのですが、付き合いきれないと言われそうなのでほんの一部ですが、トークショーの内容を紹介します。正確な言葉は覚えていないのでYONEの意訳になります、、、ご了承を。

 

『刀と傘』

伊吹先生は大学のミス研でショートショート程度は書いていたものの、本腰入れて一つの短編を書き上げたのは大学四年生の時。この作品で見事新人賞を射止め、足掛け三年、受賞作を含めた連作短編集としてようやく本作を完成させました。触発された作品として『明治断頭台』山田風太郎(著)を挙げられていました。探偵役の江藤新平とコンビを組む鹿野師光の関係性が物語と共に変わっていく様は従来のミステリには珍しく特に評価されたポイントとのことです。初めて書いた作品で新人賞、デビュー作で本ミス大賞って一体どんな才能なんでしょうか。ご本人はとても本格ミステリ愛に溢れた理知的な方で、今後も歴史ミステリに関わらず、機会を頂ける限り本格ミステリを書き続けたいと抱負を述べられていました。『刀と傘』『明治断頭台』とセットで読みたいと思います。

 

『乱歩謎解きクロニクル』

乱歩生誕の地、三重県名張市にある名張市立図書館には乱歩文献を集めた特設コーナーがあります。名張市に生まれ育った中先生は1995年10月から2008年3月までこの市立図書館の乱歩資料担当として勤務されております。乱歩より乱歩を知る人として、乱歩はこの時こんな人であったということを多く語ってくださいました。冒頭は名張市長に頼まれたからと名張市の紹介や乱歩デビュー作にちなんだ二銭銅貨煎餅を持ってきてくださりと、巧みなトークで会場を沸かせてくれるユーモアあふれる方でした。推薦人の乾先生曰く、例えば乱歩によるミステリの定義など、ミステリ作家が当たり前に触れてきた事でさえも中先生はそこに秘められた謎に気づき、考察を綴っており、素晴らしいと思うとともに自分には気付けなくて悔しいと語られていました。YONEも本作を読みました。ミステリを読み始めて浅い私の場合、乱歩という存在はその功績という足跡を知るだけで漠とした存在でしたが、本作を読むことで乱歩もまた一人の血肉を持った人間なのだなと感じさせてくれる良書でした。

 

気が付くとこんなにも書き連ねてしまっています(自分の中ではこれでも我慢して書きたい事の1/5位に削ったつもりなのに)。この後に抽選会と本ミス会員作家15名によるサイン会があったのですが、どうしよう。かなり端折ると、作家さんがプレゼントを用意してくださった抽選会は悔しくも外れました。サイン会は若い作家さんからベテランの作家さんまでいらっしゃり、大盛況でした。北村薫先生の『覆面作家は二人いる』の新装版を購入し、サインを頂きました。北村先生から「高野先生の絵、素晴らしいですよね」とお声を掛けてもらいましたが、緊張してハイと一言しか発せませんでした。

 

とこんな感じです。端折り過ぎですよね、ごめんなさい。当日の様子などは本格ミステリ作家クラブのTwitterをぜひ覗いてみてください。参加者や先生方のつぶやきがリツイートされていてわかりやすいです。

私の話で良いのなら、ぜひミステリ横浜読書会に遊びにきてください。本ミスの話を書いておりますが、ミステリ初心者が多く遊びにくる読書会ですので、ミステリって何?って方でもウェルカムです。

 

また今回の本ミス大賞の候補作を含めた全選評は光文社の電子書籍ジャーロNo.68に記載されております。来年参加したい、と言う方は講談社文庫から7月中旬に発売されます「本格王2019」に抽選券がついております。ぜひお買い求めください。(私は一体どの立場から宣伝しているのでしょうか、ただの一ファンです)

 

改めまして伊吹先生、中先生受賞おめでとうございます。お二人の今後の活躍も楽しみにしています。

YONE

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