REPORT
これまでの読書会
第30回考える読書会 『源氏物語』第3回(須磨~松風)
■参加者21名(男性11名、女性10名)でした。
『源氏物語』(全10回)を読み進めていく企画の第3回目。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいております。今回から参加の方もいらっしゃいました。
長編であるため須磨の巻あたりでやめてしまう人が多いことから「須磨源氏」という言葉がありますが、今回はその「須磨」を越え、第一関門(?)突破です!
■まずは、KURIさんから『源氏物語』にも出てくる占いについて簡単にお話をいただき、次に、今まで(桐壺~松風の巻)の中で好きな登場人物を男女1名ずつその理由とともに挙げていただきました。
好きな登場人物(男性)
・明石の入道 6名
・惟光 4名
・左大臣 4名
・光源氏 3名
・桐壺帝 2名
・朱雀帝 1名
出家しているのに娘思いの親心が俗っぽい明石の入道がダントツでした。次に、人間味あふれ公平な政治感覚を持つ左大臣が2位。同点で、フットワーク軽く気の利く男、光源氏の恋愛に欠かせない惟光が2位となりました。主人公の光源氏より惟光の方が上位だったことから「イケメンよりも気遣いの男」がよいとのご意見も。頭中将が上らなかったのが意外という感想も出ました。
好きな登場人物(女性)
・明石の君 3名
・末摘花 3名
・紫の上 2名
・朧月夜 2名
・空蝉 2名
・花散里、夕顔、桐壺の更衣、葵の上、朝顔の君、六条の御息所 各1名
好きな女性は、いろいろ分かれましたが、意外にもサブキャラの末摘花が同点1位。ピュアで本当のお姫様なのではというご感想がありました。明石の君は、光源氏の子供を産むという運の強さ、あげまん、恨み言を言わず気が利くなどの理由が挙げられていました。また、男性の参加者で、好きな女性の登場人物はいないという方が何人かいらっしゃいました。
■次に、事前にお配りしておいた資料に基づき、後宮(内裏の殿舎の配置や后妃の呼称)について、官位制度や光源氏たちの年収・収入源について簡単に説明しました。
位階・官職を少しでも知っておくと、登場人物たちの呼称・上下関係・財力がわかり、『源氏物語』を読み進めていくうえでも読みやすくなるのではないでしょうか。
光源氏の推定年収の額にため息が出て、抱える従者たちの人数に驚き、当時の貴族たちの生活を想像し、いろいろ思いを馳せました。
■その後、内容についての簡単な解説・問題提起をして、皆さんが感想・ご意見を述べる形で読書会を進めていきました。
明石の巻で、桐壺院が光源氏の夢枕に立ったシーンについて、「光源氏の罪の意識によって見た夢」という鋭い解釈も出ました。
夢枕で桐壺院が話した「気づかぬうちに犯していた罪」についての読み取りを伺う中で、「桐壺院は光源氏と藤壺の中宮が密通したことを知っていると思うか」を全員の方にお聞きしました。「知っていた」と思う方が20名、「知らなかった」と思う方が1名でした。今後、それぞれの読み取りで、光源氏と藤壺、冷泉帝の関係をどのように読み進められるのか、楽しみなところです。
■最後に、今回または今までの感想を全員の方にお聞きしました。
・恋愛小説だけではなくなってきた
・筋がもりあがってきた
・現代語訳を読んでから漫画『あさきゆめみし』を読むのがオススメ
・澪標の巻あたりから面白くなってくる
・明石の入道の狙いを知りたい
・絵合の巻が非常に面白く、現代のビブリオバトルのよう
・明石の一家はすぐにセッションができ音楽の能力がすごい
・一帖だけ独立して読んでも短編として楽しめる
・貴族政治の展開として興味がある
・頭中将と光源氏の今後の関係がどのように展開するのか楽しみ
などなど。
「絵合で頭中将がゴージャスなものを出してくるのに対し、光源氏が須磨のさびしい自作の絵を持ってくるなど対照的で、光源氏は人の心をつかむのが上手」という深い読み取りもいただきました。
第1、2回よりも、源氏物語の世界を参加者の皆さまでより共有してきているように思いました。回を重ねるごとに、源氏物語の世界が少しずつ彩られ、膨らんできているのではないでしょうか。参加者皆さまのそれぞれの源氏の世界が、どのように変化していくのか、この変化を楽しむのもまた読書会の面白いところです。
ご参加くださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
また、参加を迷っていらっしゃる方、まだまだ間に合います。とりあえず松風までのあらすじを読んで、薄雲から挑戦されてはいかがでしょうか。お待ちいたしております!
【投稿者】NAOKO