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第9回(10/28)考える横浜読書会『カルメン』

■参加者は男性8名、女性5名でした。

 

***おそらく人間じゃない(笑)と思います。半端ない読書量と教養をお持ちの異星人KINOさんの紹介文です。一緒に考える読書会を盛り上げてくれているKINOさんありがとうございます。***

赤いドレスを着て赤い薔薇をくわえ情熱的に踊るイメージの強い”カルメン”。
そんなオペラ・カルメンのイメージが強いですが、小説版は少し印象が違います。

■メリメの『カルメン』

カルメン (岩波文庫 赤 534-3)の詳細を見る

小説『カルメン』は1845年、フランス人の作家で考古学者でもあるプロスペル・メリメによって発表されました。メリメ自身がスペインを旅行し、マドリードで伯爵夫人から聞いた実話を元にして書いた小説です。主人公の盗賊ホセに形見の銀メダルを託される考古学者は著者の分身でしょう。ジプシーに関する学術的な考察に最終章を割いているのも特徴のひとつです。

■ビゼーの『カルメン』

ビゼー・カルメン (オペラ対訳ライブラリー)の詳細を見る

メリメの『カルメン』をもとに、フランス人の作曲家ビゼーがオペラとして作曲した『カルメン』です。1874年初演。考古学者はおらず、ホセの婚約者というキャラクタが増えているなど、小説とはストーリーも異なります。いわゆる情熱の女カルメンは、オペラのイメージが強そうです。

大学時代にオケをやっていたKくんにご協力いただき、オペラ版カルメンをyoutubeで視聴しました。

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※Kくん作成「独断と偏見による『カルメン』解説」。驚きの完成度!永久保存版の資料です。ありがとうございます!

 

■参加者の感想

参加者の方々に印象に残った場面を聞くと、以下の場面が挙げられました。

・コルドヴァで考古学者がカルメンと出会う場面
・考古学者がカルメンの容姿を描写する場面
・ホセが煙草工場の横で初めてカルメンと出会う場面
・考古学者の前で、カルメンとホセがバスク語でやりとりする場面
・連行されるカルメンがホセにバスク語で話しかける場面
セヴィーリャの街でお菓子を買い込んで一日中食べたり飲んだりして遊ぶ場面
・ジブラルタルで、カルメンがゴージャスな衣装で士官の横に立っている場面
・ホセがカルメンに、アメリカでまじめに暮らそうと嘆願する場面
・最終章の、ボヘミア人に対する細かい考察

カルメンは悪女というよりも、頭のいい女性として男女ともに好意的な意見が多かったです。

・カルメンは相手によって服装や言葉を使い分け、最も効果的な方法で誘惑する頭のいい女性だと思った
・一人で仕事を見つけ、采配をして、人員を確保し、遂行する段取りをつけることができる有能な女性。実業家として成功しそう。
自分の知識や能力をフルに使って相手を落とすことをゲームのように楽しんでいるように見える。ホセはカルメンが思い通りにできなかった初めての男だったのではないか。
・自由を愛するカルメンにとって、アメリカで地道に暮らすなんてありえない選択肢だったのだろう。
・貴族出身のホセとは育ってきた環境も価値観も違うので、いずれはうまくいかなくなることを、カルメンはわかっていたように思う。

一方、ホセに対しては悪人説が飛び交い、批判が集中しました。

・カルメンが自由を愛することを理解していない。
・ガルシアとの決闘など、節々で卑怯なところがあるように思う。
・自分に甘く、カルメンのことよりも自分のことを優先している。

 

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※参加者Hさんがカルメン事件の時系列をまとめた年表とスペインの地図を資料として作ってきてくださいました。ありがとうございます!

なお参加者の男性には、カルメン的な女性に会ったことはあるか、または会いたいか、
女性にはカルメン的な女性になりたいかを聞いてみました。

男性)
・カルメン的な女性に何人か会ったことがある
・会ったことはない。できれば会いたくない。
・会ったことはないが、会ってみたい気はする。
・台風のような女性なので、会ってしまったら巻き込まれると思う。

女性)
・自立した頭のいい女性。できるならなってみたい。
・カルメンのように自由に生きてみたい。
・カルメン的な女性にはちょっと憧れる。

またカルメンはホセより年上か年下か、カルメンはホセをどの程度本気で好きだったのか等、いろいろと意見が飛び交い、盛り上がりました。

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参加いただいた方々、ありがとうございました。

 

加筆、訂正承ります。ご連絡をお待ちしております。

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