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第24回(8/8)考える横浜読書会『フランケンシュタイン』

■参加者10名(男性2名/女性8名)でした。

 

第24回考える横浜読書会の課題本は『フランケンシュタイン』。1818年、イギリスの作家メアリー・シェリーが20歳のときに出版されました。

 

文学、映像、舞台、二次創作、研究対象など様々な形で現代にその姿を残していますが、原作小説を読んだ方は多くないかもしれません。現代では『フランケンシュタイン』=<怪物>のことを指し示すことが多いですが、原作での『フランケンシュタイン』は、<怪物>のことではなく、<怪物>を生み出した人物の名前です。そして作中では<怪物>に名前はありません。

 

ゴシック小説の金字塔であるとともに、世界初のSF小説とも言われる本作品。

コロナウイルスの影響により前回同様オンラインでの実施となりましたが、熱く深い読書会となりました。

 

【ご紹介いただいた本】

 

■課題本について

『フランケンシュタイン』は、日本ではいくつかの出版社から出版されています。今回の読書会では出版社は自由としており、参加者が持参した本は以下の通りです。

 

フランケンシュタイン (創元推理文庫)                        5名(内1名は新潮文庫も所有)

フランケンシュタイン (新潮文庫)                               5名

フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)               1名

※他に角川文庫からも『新訳 フランケンシュタイン』が出版されています。

 

◎主な感想

■<怪物>について

・勇気を振り絞って、創造主である”ヴィクター”に告白したのに、拒絶されたのはかわいそう。

・女性の<伴侶>を要求するところがかわいい。

・姿が醜い描写があったが、もし容姿がよかったらどうなっていたのだろうかを考える。実際、作中で出会った盲目の老人は怖がらず、一人の人間として接していた。人間と何が違うのだろうか。

 

■ヴィクター=フランケンシュタイン

・劇中ではあれこれ言うが、結局なにもしていない。

・嫌なことがあると、すぐ倒れる。しかも長い。

・<怪物>を生み出した後のことや、エリザベスを一人残したらどうなるかなど、言動の一つ一つに若さが見え、思慮の浅さを感じる。

・無実の罪で裁かれるジュスティーヌより自分の方が辛いとのたまうのは人としてどうか。

 

■その他

・エリザベスはぶりっこ。

・女性ならではの視点がうかがえる。

・著者は若いのに文学的に優れている。

・<怪物>の登場シーンでは、恐怖が巧みに描写されているが、想像すると少し笑える。

・<伴侶>のサイズはやはり大きいのだろうか。2体目なのでコンパクトなのだろうか。

・レイチェル・カーソンの作品を読んだ時の読後感に似ているかも。

 

作品の感想はホラーの枠を超え、人間や生命の在り方まで議論が及びました。一方で<怪物>やヴィクターの劇中での言動には、哀しさや怒りや笑いなど様々な感情が参加者の心に浮かんだようです。

 

登場人物やストーリーについて、あれこれ考えながら話し合う参加者の姿は、作中でフランケンシュタインが抱いた生命への追求と重なって見えました。言い過ぎました。

 

メアリー・シェリーが生まれたのは、今から242年前のちょうど8月。今なお作品について語ることができるのは、不朽の名作たる所以です。

 

メアリーさん、素敵な本をありがとう。

【投稿者】TOMKINS

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