REPORT
これまでの読書会
第13回(6/28)考える横浜読書会『リア王』
■参加者12名( 男性3名、女性9名、うち見学者1名)での読書会でし
シェイクスピア四大悲劇の一作『リア王』が今回の課題本でした。 娘に裏切られ嵐の中をさまようリア王の描写が有名なシェイクスピ
■著者経歴
1564年にイングランド中西部のストラトフォード・アポン・エ
23歳ごろロンドンに上京、早い段階から運を掴み、順調に売れっ
■『リア王』について
シェイクスピア四大悲劇(『ハムレット』『オセロー』『マクベス
▽あらすじ
ブリテンの老王リアが退位し3人の娘に領土を分配するにあたって
あしらうようになり、城を追われたリアは嵐の中をさまよい狂気に おかされていく。
▽成立
シェイクスピアの戯曲にはいずれも元ネタとなる先行作品が存在し
・グロスター親子の存在
・道化の存在
・コーディリア、リア王の死(悲劇的結末)
・嵐にさまようリア王の狂気
種本ではコーディリアがフランス軍とともに姉二人を打ち負かし、リアは王位に返り咲き、父娘ともに幸せに暮らすというハッピーエ
悲劇として書かれたからこそ『リア王』は名作となったとも言える
▽邦訳リスト
・坪内逍遥 中央公論社(1934年)
・齋藤勇 岩波文庫(1948年)
・福田恒存 新潮文庫(1962年)
・三神勲 角川文庫(1973年)
・木下順二 講談社(1974年)
・小田島雄志 白水Uブックス(1983年)
・松岡和子 ちくま文庫(1997年)
・野島秀勝 岩波文庫(2000年)
・安西徹雄 光文社古典新訳文庫(2006年)
・大場建治 研究社(2005年)
※確認できたのは上記です。ほかにもあるかも知れません。
■参加者の感想
久しぶりに読むという人、シェイクスピアは好きだがリア王は初めてという人、シェイクスピア自体初めて読む人など、いろんな人が集まった読書会でした。
シェイクスピアが好きという方、ストーリーとしての面白さや意外性を堪能する方がいる一方、戯曲という形式に読みづらさを感じた方もいました。
・シェイクスピアは喜劇のほうが好きなので『リア王』は初めて読んだ。
・『リア王』は初めてだったが、面白くて一気に読んだ。
・話の流れとしてフランス王が勝つと思っていたので、まさかこんなにあっけなく負けるとは思わずびっくりした。
・悪人のたくらみがうまくいきつつ、最後はみんな死ぬのを読んで、そういえば悲劇だったと思い出した。
・内容に救いがなく、読んでいるのがつらかった。
・戯曲はとっつきにくい印象があった。
・戯曲はすべて台詞なのに、それぞれ独白部分と会話部分が混在しているのが読みにくいと感じた。
・情景の描写がないために台詞のひとつひとつの意味を自分で考えて補足していく必要があり、難しかった。
読みにくいと感じたのは、戯曲という慣れない形式だけではなく、文化的背景の違いも影響していたようです。
・道化の存在になじみがなく、どういう立場なのかよくわからなか
・当時のヨーロッパでは、裕福な屋敷に勝手にやってきて 住み着く人たちがいた。かれらは道化として屋敷に滞在し、主人に好き勝手なことを言って構わない立場だった。ペットのような存在だったのかもしれない。
・道化は日本の幇間とは違って、お世辞をいって主人をいい気分にさせるのではなく、かなり際どいからかいの言葉も口にする。
特に道化は『リア王』でのキーマンであったこともあり、いろいろな感想が出ました。
・道化の歌が意味が分からなかった。
・道化の歌については、原語ではおそらく韻を踏んでいるはず。
・言葉遊びのような部分もあると思われるので、原語で読まないと理解できないところがありそう。
・『リア王』の道化は狂言回しの役割。『ロミオとジュリエット』での乳母の役割に相当する。
・シェイクスピアは貴族ではないので、王家に対するコンプレック
道化以外の登場人物についても多くの感想で盛り上がりました。
・リアが姉の悪口で10行程度使っているのがすごい。イギリス的ブラックユーモアを感じる。
・シェイクスピアの女性嫌悪を感じた。
・姉二人は悪人のように描かれているが、新しい時代の人なのであって、彼女たちから見ればリアこそわがままばかりの前時代的な存在なのだと思う。
・エドマンドは野心のある新しい時代の人という感じで、方法はよくなかったが悪印象はない。
・エドマンドの最期のやりきった感が良い。
・グロスター父子の親子愛にぐっとくる。
・話のところどころに出ていた目に関する記述は、グロスターが盲目になる伏線ではないか。
・コーディリアはいい子ではあるのだが、重みがないように感じた
・ケントの生き方に違和感があった。なぜそこまでリアについてい
・ケントは最終的に生き残ったように見えるが、旅に出るというの
・服を脱ぎ捨てていくリアが印象的。これまで何でも持っていた王
・お手製の冠を作って被るリアに笑ってしまう。
・嵐の中で狂気におかされていくリアの迫力がすごい。
・すべてを持っている王の満たされなさを感じた。
・権力のある人が役を降りた後の姿を目の当たりにした気持ちにな
・年を重ねるとお世辞しか受け付けなくなるものだなと感じた。
さまざまな感想が飛び交いましたが、皆さんシェイクスピアの悲劇『リア王』を存分に味わっていただいたようでした。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
※KINOさん、感想をありがとうございます!