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第48回考える読書会 『源氏物語』第7回(柏木~雲隠)

■参加者11名(男性5名、女性6名)でした。

 

『源氏物語』を読み進めていく企画の第7回目(全10回)。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいています。

 

 

■今回で、光源氏を中心とした源氏物語の正編が終わります。そこで、皆さんに「光源氏は人生の最期に誰を想うか」お聞きしました。

 

・桐壺の更衣(母)

・桐壺帝(父)

・紫の上

・藤壺

・すべての人

・自分自身

 

光源氏は自分が大好きだから自分自身の人生について振り返るだろうというご意見に、なるほどと納得。正編最後の巻「雲隠」は巻名のみで、光源氏の晩年・最期については書かれていません。ただ、彼が最後に何を思ったのかを考えると、光源氏の一生そして彼がなにを大切にしていたのかを振り返ることになりました。

 

 

■配布資料では「平安時代の仏教」などについて簡単に説明しました。

 

光源氏や紫の上ら源氏物語の主要人物が出家を望み、藤壺・女三宮など多くの女性が出家しています。「出家」とは、当時の人の感覚でどのようなものなのかについて、「リセット」「逃避」「現代の私たちが会社を辞めたいという感覚に近いのかもしれない」などいろいろなご意見が出ました。思ったよりも深い信心で出家するのではないのかもしれないとのご意見もある一方で、当時は現代のような医者や薬もなく、病や死が身近にあり、仏教はその救いとして欠かせなかったとのご意見もありました。

 

 

■今回の範囲では、夕霧が出世し、紫の上が亡くなり悲しみに暮れる光源氏を支えて立派な息子になっています。また、親友であった柏木の遺志を真面目に受け継ごうと動きます。

そんな夕霧が、柏木の妻・落葉の宮へ盛んにアタックしていく姿に、様々なご意見が出されました。

 

・雲居の雁とは幼いころからの相思相愛で、恋愛で苦労をしていないので、夕霧は女心の機微がわからないまま家庭を持っている

・現代でいう恋をしているのは、夕霧と雲居の雁、朧月夜だけ

・夕霧は人間らしい

・落葉の宮に夕霧はなぜアタックするのか。落葉の宮を見下しているのか

などなど

 

落葉の宮へのアプローチを、まじめすぎるととらえるか、相手を尊重していて真摯で情熱的ととらえるかでご意見が分かれました。

 

 

■今回の範囲の、「夕霧・雲居の雁・落葉の宮」の三角関係の話は、とても生き生きと描かれ、雲居の雁との夫婦喧嘩は、とてもリアルで俗っぽく現代にも通じます。「光源氏・紫の上・女三宮」の三角関係との対比にもなっています。女三宮との結婚に耐える紫の上。嫉妬心・怒りをあらわにする雲居の雁。

参加者の男性5名に、紫の上と雲居の雁、妻としてどちらがよいか、お聞きしました。4名の方が紫の上を選ばれました。素直に感情を出す雲居の雁は、ある意味かわいらしいとも思いますが、男性としては手ごわいようです。歌を詠み、楽器を弾く、教養ある紫の上がいいとおっしゃる方もいました。

所帯じみて子育てに追われる雲居の雁を、夕霧が、喧嘩しながらも、愛おしくかわいらしいと思う場面もあります。紫の上と光源氏の関係を光らせるためだけでなく、本当の夫婦の姿を考えさせる意図もあったのかもしれません。

 

 

■感想など

 

・ただただ紫の上の死を悲しんでいる幻の巻が、再読ではとても興味深く読めた

・幻の巻の自然の描写がきれい

・夕霧の巻は、光源氏のすごさを際立たせるために、夕霧の滑稽なひどいシーンを見せていると思う

・夕霧と落葉の宮のやり取りが面白かった

・前回の若菜の巻からここまで、人が次々に亡くなったり、哀しく切ない

・雲隠の巻、何も書かないというのがすごく斬新

・雲隠の巻は、紫式部も光源氏の晩年はかけず、だからこそ想像力で補ってと紫式部は考えたのだろう

・光源氏は紫の上に依存していたのでは

・死に至ってしまうほど、報われない柏木の恋心が切なかった

・柏木の恋心は共感できないが、夕霧の不器用な女性への対応は共感できる

・若菜の巻から、登場してくる女性が上の上の女性ばかりになっている

 

 

■ご参加くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!!

【投稿者】NAOKO

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