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第43回考える読書会 『アンナ・カレーニナ』(1)

■参加者16名(男性5名、女性11名)でした。

 

トルストイの長編作品『アンナ・カレーニナ』を、4回に分けて読む企画の第1回。今回の範囲は、第1部~第8部のうち第2部までです。

 

出版社は決めず、お好きな翻訳本を読んできていただいています。

・光文社   9名

・新潮社   5名

・岩波書店  2名

・米川正夫訳 1名

 

岩波文庫と新潮文庫を並行して読み比べているという方もいらっしゃいました。

 

「トルストイの作品を読むのは初めて」「ロシア文学は今回初めて」など、この機会に挑戦しようという方が多いようです。

 

 

■解説では、時代背景・19世紀のロシア貴族社会・ペテルブルグとモスクワの比較について、資料を使って簡単に説明しました。

 

 

■今回の範囲で、印象に残ったシーンを挙げていただきました。

 

・駅でヴロンスキーとアンナが出会い見つめ合うところ

・リョーヴィンの田舎生活

・ヴロンスキーの競馬のシーン

・吹雪のプラットホームでヴロンスキーとアンナが再会するところ

・スケート場のシーン

・舞踏会

・夫婦喧嘩でオブロンスキーが嘆くシーン

・浮気がばれた次の日の朝のオブロンスキーのシーン

・アンナの息子セリョージャがアンナとヴロンスキーの関係を観察しているところ

・アンナが、久しぶりに会った夫や息子に僅かな失望を感じるところ

など

 

予想以上に、様々なシーンがあがり、その理由を聞くとどれも納得でした。競馬のシーンの臨場感。ヒロイン初登場のモスクワ駅でアンナの描写。舞踏会の衣装の描写。皆さんのお話を聞いて、トルストイが細部にわたって描きこんでいることに、改めて感服します。

 

 

■感想など

 

・タイトルは『アンナ・カレーニナ』だが、アンナが主人公とは思えない

・丁寧に作りこんでいるが、すべて作者トルストイが登場人物を操っている感じがする

・オブロンスキーとリョーヴィン、アンナとキティなど、いろんな人物が対比になっている

・オブロンスキーが浮気発覚後に見る夢は能天気なものだが、それに対してアンナが見る夢は暗いのが対照的

・キティの両親など、夫婦の考え方の違いなどがうまく描かれている

・ドレスの描写、狩りの描写などが素晴らしい

・田舎の描写に癒される

・心理描写が細かい

・舞踏会でアンナとヴロンスキーが恋に落ちるところをキティの視点で描いていてすごい

など

 

 

■「悲恋の話ときいていたが、アンナとヴロンスキーの恋は、ただのセレブがイケメンと不倫した話ではないか」というご意見がある一方で、「オブロンスキーに代表される18世紀の貴族世界で育ったアンナが、19世紀のロシア近代化の代表カレーニンに嫁ぎ、18世紀的貴族社会の青年と恋に落ちる話」と時代背景を考慮したご意見を出される方もいらっしゃいました。アンナとヴロンスキーの恋愛をどのようにとらえるか、今後も皆さんの様々なご意見が非常に楽しみです。

ある参加者の方がおっしゃたように、「恋愛について描こうとしている作品」なのか、「近代化が進み貴族が没落していくロシア社会の問題を描こうとした作品」なのか、これから読み進めていく上でいろんな視点を持って読んでいける作品ともいえるのでしょう。

 

 

■「ヴロンスキーの人物像がはっきりしない」というご指摘がありました。ヴロンスキーがアンナと結ばれたあとの心情が殺人者の心情にたとえられたり、愛馬が競馬で転倒した時に彼が激昂したり、彼の人物像が理解しにくいシーンがいくつかあります。今後、ヴロンスキーという人物がどのような人物として描かれていくのか、アンナとの恋の行方も含めて、興味深いところです。

また、ヴロンスキーだけでなく、アンナ、オブロンスキー、リョーヴィン、キティなどについての自分や皆さん人物評価が、今後どのように変わっていくのか、とても楽しみです。

 

 

■ご参加くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

【投稿者】NAOKO

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