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第41回考える読書会 『源氏物語』第2回(末摘花~花散里)

■参加者9名(男性3名、女性6名)でした。

『源氏物語』を毎月10回にわけて読み進めていく企画の第2回目。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいております。

■皆さんに、今回の範囲で印象に残った巻をお聞きしました。

いちばん多かったのは「賢木の巻」。
光源氏が藤壺に会いに行き髪の毛をつかみ引き留めようとするシーンや朧月夜の密会発覚・藤壺の出家のシーンなどドラマティックなところが多い巻でした。

ほかに、
「葵の巻」
・みな生き生きしている
・葵上がなくなり、左大臣邸を光源氏が去るシーンが左大臣や大宮の悲しみがよく表れている
 ・六条御息所の芥子の香りが取れないというシーンが非常に印象的

「花宴の巻」
・終わり方が朧月夜との再会で、ぷつっと切れるように終わるところがおしゃれ
・若き光源氏の絶頂期を描いている巻の最後に、これから下降していく光源氏の不運のタネをまいておく構成がうまい

などがあがりました。

前回は「葵の巻だったが、今回は賢木の巻」というように、再読すると印象に残る巻が変わる方もいらっしゃり、その感じ方の変化をお聞きするのも興味深かったです。

■次に、事前にお配りしておいた資料で各巻ごとに簡単な解説をして、皆さんのご感想・ご意見を聞くという形で読書会を進めていきました。
以下皆さんのご感想・ご意見の一部です。

・素敵な言葉遣いが多い
・肝心な場面をはっきり描かないけれどドラマになっている
・花の宴から賢木までドラマティックな展開でとても面白かった
・若かりし光源氏はとてもエロティック
・再読なので、これから光源氏が落ちていくのを感じながら今回の範囲を読むと面白い
・葵の巻は若い光源氏の絶頂期の巻だが、実は、左大臣との関係が薄れることになる葵上の死、後見のいない紫の上との結婚という、これからの光源氏の下降の始まりが見える巻でもあると思った
・光源氏と東宮の父と子の関係も感慨深いものがある
・天皇親政にむけた桐壺帝の戦略が進んでいたが、自分が死んでしまってその戦略が崩れてしまった
・まだ子供の紫の上と一日中遊んであげている光源氏は、とても純粋な心を持っている
・末摘花~葵の巻までの光源氏のクソ男っぷり、夫婦仲があまり良くなかったはずの葵上の急死によるうろたえぶりなどその浮き沈みの対比が面白い
・紫の上が光源氏と契ってショックを受けるシーンを平安時代にきちんと書いているのが驚いた
・藤壺との関係が政治的になっている
・花散里の巻で光源氏は花散里の姉・景麗殿女御にわざわざ会いに行っていて、実は関係があったのではないか

など

■今回の範囲では、若い光源氏と、朧月夜、藤壺、紫の上、葵上、六条御息所、末摘花、花散里、源典侍との瑞々しくもあり、切なくもあり、滑稽でもある様々な恋愛が展開し、参加者の皆さん、おおらかな気持ちで楽しんでいたように思います。

■六条御息所の物の怪の話でも様々な意見・感想が出ましたが、その中で「物の怪は弱っている人に取り憑く」という今後の読み進めるうえで参考になるご意見もありました。

■「光源氏の一つひとつの行動はなにをやっているのかと突っ込みどころ満載の行動だけれど、いつか点と点が結ばれる」と参加者の方が言われていましたが、源氏物語は「運命の物語」でもあるのかもしれません。様々な女性と光源氏が運命の糸で次々と結ばれていく、そんな壮大な物語にどっぷりつかり始めた回のようにも感じられました。

■ある参加者さんが、光源氏はスティーブ・ジョブズの「Stay hungry」を実践しているという話をされ、光源氏=スティーブ・ジョブズ説で盛り上がりました。1000年前の物語の登場人物と現代の人物が重なり合う……恋も政治も、生き様も今も昔も同じ……そんなことを考えさせられました。
参加者さんがおっしゃった「ひとりでは気づかないことがいろいろ気づけて、再発見があり」「みんなで読むと楽しく読める」会だったと思います。

ご参加くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!!
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
また、3回目以降からご参加くださる方、ぜひお待ちいたしております!

【投稿者】NAOKO

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