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第58回考える読書会『A・ウェイリー版 源氏物語』第3回(須磨~松風)

■参加者13名(男性5名、女性8名)

『A・ウェイリー版 源氏物語』(毬矢まりえ・森山恵姉妹・訳、左右社)を全10回で読み進める企画の第3回目は、須磨~松風の巻まで。

■解説では、「おもな官位」「貴族の年収」などについて、簡単に説明しました。

■今回の範囲で一番印象に残った巻を皆さんにお聞きしました。(複数回答有り)

★須磨 1名

ゲンジといろんな女性との別れのシーン

★明石 3名

ハリケーン困っているゲンジのもとに入道が登場するシーン

アカシのニュウドウの娘を想う父の愛を感じるところ

ゲンジとアカシのレディの初めての逢瀬のシーンで、ゲンジがどのように彼女を口説いたの

か想像をかきたてられるところ

★澪標 3名

アカシのレディの出産をムラサキが知るところ

★蓬生 3名

スエツムハナの気持ちがよく描かれている

ウェイリーもスエツムハナが好きなのではないか

★絵合 3名

絵合がゲームとして面白そう

勝敗を決めたゲンジが書いた須磨の絵がどんなだったのか見てみたい

★松風 3名

アカシのニュウドウが娘とお別れするシーン

ゲンジとアカシのレディがオオイで久しぶりに再会し睦み合うシーン

皆さんの印象に残った巻がばらけていて、それだけ今回の範囲はどれも読みごたえある巻ばかりだったのでしょう。

■以下皆さんのご感想・ご意見の一部です。

・登場人物の心情がわかりやすく書かれている

・ウェイリー訳で毬矢・森山姉妹訳は素晴らしく何回でも読み直せそう

・訳がとても面白い

・ウェイリー訳で初めて源氏物語を読んでいるので、他の訳と読み比べてみたい

・ウェイリー訳の方が、紫式部の心情がうまく伝わってくるような気がする

・ウェイリー訳は風景描写がきれい

・「須磨」「明石」が他の訳より明るくて神々しい感じがする

・「明石」「須磨」が寂しくて読みづらかった

・明石の入道が年老いている感じがせず、若い

・末摘花にも野心があるのに驚いた

・フジツボのゲンジへの思いの深さが想像以上だった

・ゲンジがムラサキに甘えすぎていてムラサキに対して残酷

・ゲンジが屋敷などを作り指示するシーンが多く、権力を手に入れた感じが出ている

・アカシのニュウドウの別れのシーンでの妻の気持ちがよく表現されていて、熟年夫婦の心情は今も変わらない

・アカシのレディは紫式部自身ではないか

など

■ほかに、ゲンジの父キリツボがゲンジの夢枕に立った時に話した「キリツボの生前の罪」とは何かについても、いろんなご意見がでました。昨年、一昨年にはでなかった新解釈が出て貴重なお話をお聞きできました。

■今回の範囲は、アラサーで男盛りのゲンジが政治的に失脚して京を離れ須磨へ行く。そして、明石・須磨から京に戻り冷泉帝の後見として政治的に復権していくゲンジ。いつ戻るともわからぬゲンジと女性たちとのそれぞれの別れと、再会。「いろいろと波があり飽きずにとても楽しめた」と参加者の方の感想にもありましたが、浮き沈みの多い動きがある展開でした。

■一昨年と昨年は訳本を決めずに源氏物語を読み進めましたが、今年は同じ訳本で読み進めています。美しい描写・歌を参加者全員で共有でき、細かい疑問点なども参加者皆さんで考えていけるところが、昨年までと大きく違うところです。

翻訳したウェイリーや、当時このウェイリー訳を読んだ欧米の読者へ思いを馳せたり、ウェイリー訳をどのように毬矢・森山姉妹が再度日本語に訳したのかその苦労や想いを考えて、源氏物語をただ味わうだけでなく、いろいろな視点で楽しめる読書会になっていて、今後に期待が膨らみます。

■ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました!!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

また、4回目以降からご参加くださる方、お待ちいたしております!

【投稿者】NAOKO

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