REPORT
これまでの読書会
第29回考える読書会 『源氏物語』第2回(末摘花~花散里)
■参加者19名(男性9名、女性10名)でした。
『源氏物語』を毎月10回にわけて読み進めていく企画の第2回目。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいております。今回から参加の方もいらっしゃいました。
■まずは、簡単に前回の振り返りをして、次に、今回の物語の中で「花鳥風月(風情)」を感じたところについて皆さんにお話ししていただきました。
風情を感じたところとして、以下のようなものが挙げられました。
・手紙・和歌のやり取り 3名
「最近は筆跡で相手の人を想像することがなく、とても風情を感じた」「手紙のやり取りに、和紙を選んだり、花などを添える行為がいい」など。
・葵上が亡くなった後、頭の中将が光源氏のところにきて語り合うシーン 3名
「時雨のシーンが光源氏の心情とうまく重なっている」「光源氏の衣裳・様子・風景描写がすべてその心情を表している」など。
・車争いのシーン 3名
「車から女性の衣裳がちらりと見えているところ」など。
・六条御息所との別れのシーン 2名
他に「光源氏の衣裳が丁寧に描写されているところ」「季節によっての衣裳の色合わせ。想像して風情を感じる」などが挙げられ、自分では気づかなかった他の方の風情の感じ方を知ることができました。
■次に、事前にお配りしておいた資料に基づき、紫式部の略歴を説明しました。その後、内容についての簡単な解説・問題提起をして、皆さんが感想・ご意見を述べる形で読書会を進めていきました。
「桐壺院は光源氏と藤壺の中宮が密通したことを知っていると思うか」というこちらからの問いには、「知らないと思う」「実は知っているのではないか」とどちらの意見の方もいらっしゃいました。
特に末摘花・六条御息所・朧月夜の君で話が盛り上がりました。
・ひどい書かれようの末摘花だが、光源氏のおかげで経済的な心配がなくなり、ある意味では幸せではないか。源氏物語の他の多くの女性が周りの目を気にするのに、末摘花は気にしない。
・六条御息所は、嫉妬というよりプライドが高すぎるのでは。光源氏と別れられてよかった。
・朧月夜は、潔い。働いている女性だからか、光源氏に依存していない。
・花散里の巻は、フランス料理のお口直しのソルベのようなもの。
などなど。
また、参加している男性陣に対して光源氏になってみたいかという質問がでました。「めんどう」「ややこしくて大変そう」などの理由からなりたくないという男性が多かったのですが、光源氏になってみたいという方も1名いらっしゃいました。
実際に平安時代の史実と照らし合わせて、和歌や物語の展開を読み解く方もいらっしゃいました。源典侍のところでじゃれ合う(?)光源氏と頭の中将がまるで中学生男子というご指摘に、妙に納得してしまいました。
■源氏物語の世界に慣れてきたからか、前回に比べて、現代の文化・恋愛事情などの違いに対する驚き、違和感などのご意見・感想が減り、物語の展開や登場人物そのものへのご意見・感想が増えたように思います。「葵上が亡くなってがっかり」「光源氏を今回少し好きになった」などの感想もあがり、物語そのものを楽しんでいらっしゃったのが印象的でした。次回もさらに物語を楽しんで、ワクワク・ハラハラしながら、『源氏物語』が描こうとしている世界を読み解いていけたらと思います。
登場人物たちへの皆さんの思いを聞いていると、読み手の個性も表れ、皆さまざま。それを知ることができるのも、また読書会の楽しみではと思いました。
ご参加くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!!
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
また、3回目以降からご参加くださる方、ぜひお待ちいたしております!
【投稿者】NAOKO