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これまでの読書会

第17回(4/6)考える横浜読書会 『カラマーゾフの兄弟』第三部

■参加者18名(男性7名、女性11名)での読書会でした。

前回、前々回に引き続き、今回も課題図書はドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、課題範囲は第三部です。第三部では父フョードルが何者かに殺され、長男ドミートリイに父親殺しの嫌疑がかかります。ミステリ的な展開に加え、「グルーシェニカは誰を選ぶのか?」という恋愛的な要素もある部分です。第一部からずっと参加いただいている方、復活した方、初めて参加する方など、参加者の顔触れも様々でした。

【ご紹介いただいた本】

■参加者の感想

第三部はコミカルな描写が多く笑ってしまったという感想が多かったです。

・ホフラコワ夫人との、お金をあげるあげないのやりとりがコミカルで笑ってしまった。
・ドミートリイが金策に走る場面が滑稽で、見ていてつらい。
・周りの目を気にしない人が多く、自分にとって不利な行動ばかりするドミートリイが見ていてもどかしい。
・さらに登場人物が増えたのに、友達になれそうな人が出てこない。
・無罪を信じてもらえないドミートリイに感情移入して読んでいた。
・グルーシェニカの変わりようが信じられない。女性たちの激しい感情はロシア的なものなのか?
・ストーリーの中で作者がいきなり顔を出してくるのが怖い。

また、「死んだ長老から腐臭がした」という出来事について、様々な意見が出ました。ドストエフスキーはなぜ長老が死んだあと、異常なほど早く腐臭が発生したという出来事を描いたのでしょうか?

・ゾシマ長老を聖人化したくなかったのではないか。
・体臭がない人間は人間ではない。ゾシマ長老を人間として描きたかったのではないか。
・掌を返したような人々の姿を描くため?期待が高い分、裏切られたと感じてしまう。
・ゾシマ長老は清廉潔白な人間とは言い難い。
・ゾシマ長老を糾弾する2人組はおそらくゾシマ長老の人望に嫉妬していたのだろう。 信じていない人からすれば悪魔が見える人は詐欺師だが、信じている人から見れば尊い存在。ゾシマ長老の「奇蹟」も信じていない人からすれば「偶然」だが、信じている人からは聖人のしるしのように感じられる。
・信じていたものが裏切られるのは試練の一つではないか。

さらに、第三部で明らかになったドミートリイについての新たな視点について盛り上がりました。ドミートリイはあの運命の夜、なぜ「殺さなかった」のでしょうか?

・父フョードルが死んだのと、アリョーシャが霊感を得て祈ったのは時系列的に同じタイミング。
あのときアリョーシャの魂を訪れたのは誰なのか?ゾシマ長老?フョードル?
・ドミートリイが窓の外で凶器を取りだした瞬間、ドミートリイを守ったのは何だったのか?
同じころ大地を抱きしめて祈っていたアリョーシャ?
カラマーゾフ家が庵室で会合したときにドミートリイに跪いたゾシマ長老?
・本当の犯人は誰?イワンは不作為による作為によって父親殺しに加担したのでは?

また、ドミートリイはピストル自殺しようとした理由について以下のように語っています。(実際にはピストル自殺をする前に官吏たちがドミートリイのところに到着しました。)

・グレゴーリイを殺してしまったと思ったから
・グルーシェニカが父親も自分も選ばず、昔の恋人と暮らすために去っていくことを知ったから
・婚約者から借りていたお金をついにすべて使ってしまい、泥棒になってしまったから。

最終的にグルーシェニカはドミートリイを選んでくれたわけですが、どうしてドミートリイはピストル自殺を思いとどまったのでしょうか?

・殺したと思っていたグレゴーリイが生きていたことが分かればピストル自殺しなかった?
・心の女王であるグルーシェニカが自分を選んでくれたなら、自殺を思いとどまったかも。
・しかしカテリーナから預かったお金を使ってしまった(=盗んだ)事実は変わらないので、やはりそのまま生きていくことはできなかったのではないか。

様々な意見が飛び交う刺激的な読書会となりました。
次はいよいよ最終回、第4部に進みます。

【投稿者】KINO

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