REPORT
これまでの読書会
第47回考える読書会 『源氏物語』第6回(若菜)
■参加者10名(男性4名、女性6名)でした。
『源氏物語』を読み進めていく企画の第6回目(全10回)。訳者は決めずにお好きなものを読んできていただいています。今回から参加の方もいらっしゃいました。
今回は、源氏物語54帖の中で、一割の分量を占める帖「若菜」。内容が盛りだくさんです。
■「若紫」の巻で噂話の中に登場し、実は桐壺更衣といとこの関係でもあった明石の入道。「若菜」の巻では、明石の入道の悲願が達成した話が書かれています。
明石の入道と彼の人生についてどう思うか、皆さんにお聞きしました。
・明石一族は幸せな一族。ただし今と幸せの概念が違うけれど
・明石の入道の生き方は、現代のお仕事人間の見本にもなる
・明石の入道は本懐を遂げられ、おいしい役。源氏物語の登場人物で役につくとしたら明石の入道がいい
・明石の入道は仙人のよう
・父は大臣で、自分もそこそこの出世が約束されていただろうに、娘のために明石へ行き夢に向かって進
む。実は論理的な人物ではないか
・20年ほどにわたる願いを叶える思いがすごい
・明石の入道の遺言の「功徳をつんでください」が心に残った
・たくましく人生を切り開く明石の入道のことを紫式部は好きなのではないか
・人生をはかなむこともなく、強い意志を持ち、弟子も多く人望があり、源氏物語で珍しい成功者
など
明石の入道とその一家は、物語の初めから光源氏の物語を大きく動かしていったのだと、皆さんの話を聞きながら改めて思いました。明石の入道の生き様を見ていると、「夢をあきらめるな」「夢は叶えるもの」「信じる者は報われる」などの今でも通じるものを感じます。
明石の入道は、自分のためではなく、娘や子孫のことを思ってのこと。それに気づいた明石の君や明石の姫君。頑固な夫を愛していた明石の君の母。明石の入道一家の家族愛も今回強く印象に残りました。
■配布資料では「皇女の結婚」「平安時代の楽器」などについて簡単に説明しました。
■感想など
・紫の上に感情移入して切ない。花びらが落ちるように紫の上がだんだん消えていくような気がした
・女三宮の降嫁は、今までの光源氏の世界に異質なものが入ったよう
・朱雀院の母・弘徽殿の女御が生きていたら女三宮を光源氏に絶対に嫁がせなかっただろう。なぜ朱雀院は女三宮を光源氏のもとへ嫁がせたのか
・柏木と小侍従の会話がリアルで、今でも通じるよう。
・柏木の蹴鞠のシーンが印象的。桜の花びらが舞い散る中、若い貴公子たちが蹴鞠に汗を流し、猫が飛び出すという動きあるシーンの中で、女三宮を垣間見る柏木。映像を思い浮かべるとエロチック。
・女三宮からみた柏木は、藤壺からみた光源氏だったかも
・柏木と女三宮の思いもやらなかった展開にドキドキし、因果応報を感じた
・10年弱、女三宮を思い続けた柏木の思いがすごい
・女三宮を人形のようにさせてしまったのは光源氏ではないか。もっと別な男性と結婚生活をしていたら違っていたかも
・夕霧が自分の子どもを光源氏に会わせないのはなぜか
・光源氏が中年ぽくなってくどくなった
・光源氏の嫌なところがパワーアップして楽しめる
・女楽のところは、音楽についてとても詳しく書かれていて面白かった
■「今までが長い長い伏線」とも「源氏物語はここを読まなければ読んだことにならない」ともいわれる「若菜」。
義母・藤壺との許されない恋をした光源氏が、今度は父と同じ立場になってしまうという驚きの展開だけでも満腹になる内容ですが、他にも、光源氏と朱雀院、柏木と光源氏、光源氏と紫の上、女三宮と紫の上など、それぞれの思い・思惑が絡み合うエピソードが満載です。
また、「源氏物語の中でも感情がよく描かれている」と参加者の方が言われたように、それぞれの登場人物の思いが今までの巻に比べて、より詳しく書かれています。
「内容がとても濃く、面白かった」と多くの方が感想で述べられていましたが、本当に、「若菜」は、読書会2時間では話しつくせないほど、読み応えのある、小説として完成度の高い巻ではないでしょうか。
■ご参加くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!!
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
また、7回目からのご参加、大歓迎です。お待ちしています!
【投稿者】NAOKO