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書評『すべてはモテるためである』YASU

モテたい!

それは人の持つ原始的な欲望。

異性を求める欲望というのは人によって大小あれど、「モテたくない」と本気で考えてる人はごくごく少数派だろう。その証拠に世の書店を見回すと、ほぼすべての書店に恋愛マニュアル関連の本が置いてある。この事実は、人類にとって異性関係は重要だという裏付けとも言える。

ところがこの手の恋愛マニュアル本、とくに男性向けのものだが、女性からの評判がどうもよろしくない。巷に溢れる恋愛マニュアル本はHowToにフォーカスを当てたものが多く、手っ取り早く成果を出したい人を意識した編集になっているからだろう。

とはいえ、女性から評判が良い恋愛マニュアル・・・そんなネッシーのような本が存在するのか?

実は存在するのである。

それも著者がアダルトビデオ(AV)監督という、かなり尖った本だ。

今回は、そんな恋愛マニュアルとは一線を画す本を紹介したい。

はじめに、著者について少し触れたい。

著者は二村ヒトシというAV業界では有名な方で、1997年にアダルトビデオ監督としてデビューし、「ふたなり」「集団痴女」「女装美少年」といった斬新な切り口の作品を世に送り出してきたAV界のイノベーター的存在だ。

では早速本書の紹介に移る。まずは4ページ目から。

”なぜモテないかというと、それは、あなたがキモチワルイからでしょう。”(p.4)

まだはじめの一歩にも関わらず、思わず本を閉じたくなる痛烈な一言が書かれている。この時点で読者はすでに大ダメージを受けているとお察しするが、痛みを堪えて読み進めていくと、さらなる衝撃の文章を目の当たりにする。

”というわけで、考えてみてください。まず「いったい、あなたはなぜモテたいと思うのか?」から。”(p.17)

「あなたはなぜ●●したいと思うのか?」というフレーズを聞く機会は、日常生活ではそうない。もしあるとすれば、職場で上司から𠮟責を受けるときくらいだろう。

しかしさらに本書を読み進めていくと、先に述べた「キモチワルイ」という言葉の真意と「モテるための理由探し」は、本当の意味でモテるために必要な叱責と問いかけだったのだと、見事なまでに伏線を回収してくれる。

実はこの本、よくある恋愛マニュアルのようにHowToについてはほとんど触れない。どちらかというと、マインドセットを変えるための道しるべを示すタイプの本だ。しかし、疑問に思う人も多いと思う。なぜHowToよりもマインドセットを変える方がはるかに効果的なのか?理由は女性の思考にある。

”「まず恋愛のテクニックとか、そういうたぐいの本を読まないことね。読んだ時点で、ダメな人。本屋でそういうマニュアル本の棚の前で立ち止まるという精神が、すでに負けているよね」”(p.26)

”「だいたいさ、そういうマニュアルって、女性一般の攻略法でしょ。せいぜいB型はこう攻めろとか、お嬢さまタイプはこうでギャルはこうとか、そういう分類でしょ。【あたし】はどこにいるのよ?あたしを口説きたいんでしょ?しかも口説きかたも本に書いてある通りのテクニック使うんだったら、そこには【あなた】すら、いないじゃない。恋愛とかセックスとかって、一人ひとりやりかたが微妙にちがってて、それが楽しいのに」”(p.28)

すべての女性が上で引用した文章と同じ考えとは限らないが、ほとんどの方は同意されるのではないか。したがって、男性側としては「女性とはこういう生きもの」というカテゴリ分けの思考から、「目の前のあなたを見る・感じる」というカウンセリング的な思考へと変える。つまりマインドセットを変える方が、真のモテに近づくという話だ。

マインドセットはわかった!でも、練習する場所が・・・。と心配するそこのあなた。ご心配なさらず。どこで何をすれば最適な練習になるかは、本書の中で懇切丁寧に説明されている。ただ少しばかり身銭を切る覚悟が必要なので、そこはご注意を。

さらには、どこで出会いを求めるべきか。どうやって恋愛するのか。といった、実践的な部分についても解説されている。まさに至れり尽くせり。

モテるための道は険しく厳しい。それでも本物が欲しいと切に願う方は、ぜひ一度本書を手に取って欲しい。ただ他人にジロジロ見られる表紙の本なので、購入する場合はオンライン経由で購入することをお勧めする。

【投稿者】YASU

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