第4回(4/30)考える横浜読書会『幸福論』

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■参加者15名(男性6名、女性9名)

初参加の方は5名でした。

 

今回の課題の本はアラン『幸福論』です。

身近な題材を使い、日常に例えた「幸福」についての内容です。プロポ(断章)と呼ばれる便せん2枚程度の短くて独立したコラム的な形式で書かれているため気軽に読めたかなと思っていたのですが、ほとんどの方が読み進めるのに辛かったとの意見でした。説教じみて辛くなるとのお話もありました。哲学書は体系的な論述式の方が読みやすいのかも知れません。

翻訳者によって意味の解釈が違って伝わっていました。「読んでいてビジネス書のようだった」と感想を述べた方の本は、ビジネス書の翻訳を多く手掛ける村井章子さん翻訳の『幸福論』でした。

ラッセル『幸福論』を熟読してきた方がいました。高度なギャグセンスをお持ちだなと思ったら、本気のようでアラン『幸福論』は読んでいないとのこと。それでも皆さんの意見と対比させて、冴えわたる考察と鋭い質問は圧巻でした。さすがです。

【ご紹介いただいた本】

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※ラッセル『幸福論』を探してみてね。

 

また、たくさん意見の出た「情念」。「情動」の方が適切ではないかとの意見も出ました。「情念」は気持ちを念じる怨念のようなイメージが強く、マイナスに捉えがちとの理由です。

そこで哲学者のご回答をいただいております。

”心と身体を分けて考える近代の二元論的な思考形式においては、人間の心の動きは、動機や情動(エモーション)という擬似力学的なカテゴリーでスタンドアローンに説明されます。これらの新しいカテゴリー(18世紀以後に登場)に対して、情念(パッション、パトス)というのは、身体から心への因果作用の素朴な肯定に基づく、古代以来の古いカテゴリーです。アランは、行動や習慣を変えることで心をコントロールしようとするので、近代のカテゴリーに乗っからずにあえて「情念」を語っているのだと思います。”

なるほど!難しい~!

 

以下、アラン『幸福論』の深みに迫ります。

▶おすすめのプロポ

93のプロポの中から皆さんが選んだ栄誉あるプロポをご紹介します。(岩波文庫)

1.名馬ブケファラス

2.いらだつこと

4.ノイローゼ

10.アルガン

12.ほほ笑みたまえ

13.事故

15.死について

19.あくびの技術

20.気分

21.性格について

22.宿命

27.欲すること

28.人はみな、己が欲するものを得る

35.家庭の平和

36.私生活について

37.夫婦

47.アリストテレス

48.楽しい農夫

51.遠くを見よ

52.旅行

53.短剣の舞

61.死者のための祭儀

73.上機嫌

78.決断拒否

80.新年おめでとう

82.礼儀正しさ

91.幸福になる方法

93.誓わねばならない

あくびとリラックス効果、フランスのお年玉の風習、上機嫌であること、意志と行動等、様々な意見と感想が述べられました。参加者のみなさま、ありがとうございました!

 

▶アランとは?

アランとはペンネーム。本名はエミール・シャルチエ。1868年3月3日、フランス帝国ノルマンディー地方に生まれます。獣医であった父親の生態学的経験知を体で学び、パリやフランスの各地の高校で、哲学の1教師として生涯を貫いた人物です。

芸術をこよなく愛する高校教師でありながら社会的な事件に対して積極的に発言しメディアとも積極的に関わります。リベラルな共和派として政治活動や講演活動にも参加。新聞への寄稿も精力的に行います。40代後半で従軍したこと、晩年まで独身であったことも付け加えたいと思います。

1951年6月2日(83歳)に亡くなるまで執筆活動を続けました。

 

▶『幸福論』とは

第1次世界大戦前後に執筆した新聞の投稿記事のなかから、「幸福」をテーマとしたものを集めた書です。プロポで書かれているため拾い読みできる気軽な「幸福論」。今なお世界の人々に読み継がれています。

 

▶「世界三大幸福論」

スイスのカール・ヒルティ、イギリスのバートランド・ラッセルと並んで「世界三大幸福論」の一つと称されるのが、アランの『幸福論』です。

 

▶アランは幸福であったか

この問いに対して、アラン本人は”「幸福」というものはあるものではない。あるのは「幸福」であろうとする意志と活動と責務だけ。”と説いています。

 

ありがとうございました!またお会いしましょう。

加筆、訂正等受け付けております。気軽にご連絡を頂きたくお願い申しあげます。

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